小児科 すこやかアレルギークリニック

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予行演習
2012年09月18日 更新

この場で書いているように、今年に講演ラッシュは尋常ではありませんでした。

まだ多少は講演は残っているのですが、あらかた終わりました。その最大の重荷と言うか、プレッシャーがかかっていたのが、16日の日本小児アレルギー学会の講演でした。

これまでは、患者さんや学校・園関係者に対する話だったのですが、今回だけは対象が同業の小児科医です。いつも医学的根拠のある医療をすべきだと言っていますが、食物アレルギーは「食べて治そう」という風潮がここ最近急に出てきて、理論はさておいて、食べさせることが“正しい”となってきているようにすら感じます。経口減感作療法にしても、ある程度解明はされてきて入るものの、まだまだ食べられると言う現象に、理論が追いついていないという印象です。

私も基本的に親御さんに相当負担のかかる「完全除去はなるべくすべきでない」と考えていたため、「食べられるものは食べさせる」というこれまでの方針は、最近の流れに沿ったものと言えます。根拠を示せと言われると、弱い部分も正直あるのです。

構想は、依頼のあった3月から練ってはいましたが、本腰を入れて考えるのが結構直前になってしまいました(汗)。学会の数日前に発表用のスライドがほぼ完成し、現時点では「これ以上のものは無理かな」という感じでした。

当日、本番は13:50からでしたが、事前に10時に関係者が集まり、打ち合わせが行なわれてました。私のほかに昨日触れた川田先生と寺田先生の話も伺いましたが、やっぱり「隣の芝は青く見える」もので、自分の話の完成度がイマイチだと感じていました。

このセッションの仕切り役である座長の先生も開業の先生でしたが、有名な先生お二方でした。私の話を聞くと「質問が一杯出る」と言われました(涙)。先ほど述べたように、聞かれてもまだ解明されていないことは、分かりませんと言うしかないし、いざとなったら助太刀をお願いしました。

今回の学会は内容が盛りだくさんで、学会2日目の最後の時間帯が出番でしたが、私が声がかかっていなければ、他のシンポジウムを聞きにいきたいと思っていたくらいです。正直、「そんなに参加者はいないだろう」と高をくくっていました。

直前の時間帯まで、私はもう一つの発表があったため、隣の会場にいました。13:48頃に会場に行くと、かなりの混雑ぶりで、最終的には立ち見が出る程でした(汗)。

今回の開業医に焦点を当てたセッションは、これまでの学会ではほとんど目にしたことがなく、企画自体が上手だったのだろうと思っています。ただ、私がぶち壊してしてしまってはいけません。とにかくプレッシャーがかかっていました。

ただ、発表直前には、よくスポーツ選手もコメントで言う言葉ですが「開き直るしかない」と思っていました。負荷試験をやって、食べられれば喜ばない患者さんはいません。今回の別の講演でもありましたが、「除去を指示していて食べるのは患者の責任、食べるように言って何かあれば医者の責任」、まさにその通りです。

負荷試験は、何かあれば全て責任をかぶるつもりですから、その上で多くのケースが食べられているので、何か指摘されても、最終的には「患者さんのために頑張りました」と言えば、乗り切れられると思っていました。

先ほど述べたように、これまで医師の前で話すことはほとんどなかったのですが、当院がどのように食物負荷試験に取り組んでいるのかという話でしたので、日頃講演で話していることの延長と考えると、新しいことばかりを話す訳ではなかったので、話が始まると、意外と自分のペースで話せていたように感じます。ただ、スクリーンを見ながら話していたので、ほぼ真横に立っており、身を乗り出す感じで、マイクよりやや前で話していることに気付き、途中で立ち位置を修正しました(汗)。

与えられた時間は15分で、スライドは15枚あまり用意してあったので、話し切ればだいたい15分だろうと思いました。ちょっとだけ延長したかもしれませんが、とりあえずは自分の力を出し切ったと思いました。とにかく「食べさせてあげたい」という気持ちが伝われば、聴衆を味方に付けられる、とも思っていました。

そうそう、実はタイトルのように、発表の数日前に医院の朝礼の時間に、スタッフ相手に作りかけのスライドを使い、「こんな風に話すつもり」と予行演習を行なっていました。スタッフからは、「解除がスムーズにいったケースを示すと良いのでは?」という意見が出ました。いつもは予行なんてしないのに、結果的にそれが良い方に転んでくれ、より説得力が伝わったのかなと思っています。

最後に川田先生と寺田先生、私と前に出て、一人ずつ質問コーナーに突入しました。私の時間になりました。集中砲火を浴びると思いきや、それほど、理論に関する質問は出ませんでした。私の作戦勝ち!?。

いや、そうではなく、学会に出て、可能なら負荷試験をやってみたいという気持ちを持った真面目な先生が会場に多かったのでしょう。実際に質問に立った先生も「うちでも負荷試験はやっているけれど…」と前置きをされる先生も目立ちました。

昨日も述べたように、講演の最後に「見学に来たい」と言ってくれる先生もいて、「これならできそうかな」と思って下さる方もいたと思われます。「やっぱり手は出さない方が良いな」と逆に思った先生もいたことでしょう。

「食物負荷試験」は、どちらかと言うとしっかりと食べさせて、症状を起こさせ、「ああ、やっぱり食べられないんだ」と判断する検査と言えます。強い症状が出れば、医師は患者さんの対処に掛かりっきりとなり、とても重い症状なら入院になることもあるでしょう。

その点、やはり開業医は不利です。診療がストップしてしまうし、そもそも入院施設を持ちません。紹介状を書いたり、場合によっては救急車に同乗することあるかもしれません。

となると、開業医に望まれる負荷試験とは、最重症の患者さんはさておき、そうでなければ、なるべく症状を起こさせずに、食べさせて、“食べられるものを増やす”ことが最大の目標になります。白黒つけることも大事ですが、それでは日常診療がストップし、大きな影響が出てしまうので、それをなるべく避ける、安全な方法が望まれる訳です。

当院の試みは、そういうところに配慮した方法となっており、専門病院の方法とはやや異なります。ただし、根底にある考え、「少しでも食べるものを増やしたい」という気持ちは一緒のつもりです。当院のやり方が参加された先生方の目にどう映ったのかは分かりません。とりあえずは無事に終わってくれたようで、肩の荷が降りた気がします。

あわよくば、どなたか似たような方法で負荷試験を始めて下されば、その先生のいる地域の食物アレルギーの患者さんは救われることになります。ただ、実際にやっているところを見た方が、取っ付きやすいのは事実だと思います。ですので、負荷試験をやっている施設の見学はしないよりはした方がいいと思っています。

18日から今シーズンのインフルエンザワクチンの予約も開始しますし、また別の忙しさも加わってきます。ちなみに、19日もエピペンの話をしに市内の園に行く予定です。

既に不活化ポリオワクチンが新たに入って予防接種の時間も忙しいのですが、インフルエンザワクチンの接種自体が10月から始まり、病気の方の他に健康な方の受診も増えます。「一難去ってまた一難」と言うのは良くないでしょうが、また別の忙しさが押し寄せてくるはずです。

これまで通り、地道に頑張っていこうと思っています。