先日、新潟市から患者さんが受診されました。
当院には、新潟市から通院されている患者さんが少ないながらいますが、この患者さんはご実家が上越市で、親戚のお子さんが当院にかかっているとのことで、勧められて受診されたようです。
診察室に入ってきて、一見してアトピー性皮膚炎だと分かりました。顔の湿疹が典型的だったからです。
にもかかわらず、新潟市内の小児科で「アトピーかもね」と言われていたそうです。いつも言っているように、正しく診断して、症状に見合った治療法を選ぶのが今のやり方です。そんな曖昧では、改善するものも改善させられないと思っています。
アトピーがとても軽い、もしくはまだ診断基準に照らし合わせても、基準を満たさないくらいなら「アトピー性皮膚炎の可能性があるが、まだ確定できない」と言うべきでしょうが、診断基準も十分満たしており、一見して分かるくらいですから、「アトピー性皮膚炎のことをよく分かっていない」と言われても文句は言えないと思います。
最近は「お薬手帳」があるので、前医がどんな処方をしていたかすぐに分かります。見れば、その医師が何を考えて、どうしようとしたかが分かります。言い方は悪いですが、見る気も起きませんでした。治療が十分でないから顔の湿疹がひどいのです。
赤ちゃんは、買い物に連れていくと、どこでも人気者です。否が応でも注目を浴びます。真っ先に顔に目がいく訳ですが、顔の湿疹が強いと肩身の狭い思いを感じてしまうこともあるでしょう。親御さんが悪い訳ではないのに、「医者にも連れていっていないように思われるのが嫌だった」とおっしゃっていました。
敢えて言えば、結果的には、行っていないのとさして変わりはないでしょう。とてもお気の毒なことです。
更に驚いたことに、お母さんがアレルギー検査を希望したところ、3歳まではできないと言われたそうです。そんなことはありません。その辺からも、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーに明るくないことが分かります。
お母さんは、そのことは看護師に言われたかもしれないと、医師をかばうようなことを言っていましたが、医師が看護スタッフを教育するので、結局、医師が詳しくないことには変わりはないのです。当院のスタッフは、誰一人としてそんなことは言わないはずです。
それにしても、アトピー性皮膚炎を軽く見ている小児科医が多いことに辟易としています。湿疹が改善しないことも十分専門医に紹介する理由になるのですが、そんな医師はほとんど見たことがありません。最近は、経皮感作と言われ、湿疹を速やかに改善させた方がいいと指摘されています。
今回は、敢えて「新潟市」の名前を出しました。人口が多い分、同じような曖昧な対応をされている患者さんはとても多いのだろうと思っています。患者さんに「こういう湿疹を見たらアトピーを疑って下さい」というようにしないと、連れ歩くのに肩身の狭い思いを感じてしまう親御さんは減らないのだろうと思っています。
乳児のアトピー性皮膚炎は食物アレルギーを合併することも多く、先の理由でアレルギー検査もされていませんでした。アレルギー検査ができることが分かっても、検査結果を評価することが大切です。例えば卵や牛乳が陽性の結果だとすると、それらが湿疹と関係があるのかどうか、食べると蕁麻疹などのアレルギー症状が出るのかどうか、除去が必要かどうか、除去した場合、どうやって解除していくのかなど考えなければならないことが沢山あります。
新潟市内の方なので、できれば新潟市内の小児科でと思うのでしょうが、食物負荷試験をやっている小児科もかなり限られ、食物アレルギーに詳しい小児科医はほとんどいませんし、お薦めのと言われても、困ってしまいます。湿疹の治療も、ガイドラインに沿った治療をしている施設は少ないように感じています。
患者さんには申し訳ないのですが、年末年始でまた上越に戻ってこられることもあり、何度か医院に来て頂こうと思っています。乗りかけた船だし、詳しくない医師からおかしな指導をされてもらっても困りますし、患者さんにはこれ以上気の毒になって欲しくありません。
最近の医療というか、医師と患者のつながりはドライなのでしょうか?。「絶対にオレが何とかしてやる」という意気込みで治療している医師が少ない気がします。
今回の来院で、新潟市内には、私が診ることで今よりももっと救われる患者さんが大勢いるのだろうと感じました。


