先日、新患の患者さんが受診されました。
いつも住所に目がいきますが、自動車で有名な街が記されていました。当院までは300キロ以上あるため、もちろんわざわざ受診された訳ではありません。ご実家が上越の方で、こちらに戻ってきている間に当院を受診して下さったのです。
生活の基盤が、その自動車で有名な街ですから、当院のことを知る由もありません。祖父母が当院のウワサを聞いて、受診を促して下さったのでしょうか?。当院にずっとかかることはできないので、それでも是非ともお子さんの症状を改善したいと思われたのでしょう。
受診の理由は、長引く咳でした。なんと問診票をみて驚きました。昨年の11月から続いているのだそうです。かれこれ5か月になります。
持参したお薬手帳を見ると、地元のいくつかの小児科と耳鼻科を“はしご”されていました。処方内容を見ると、風邪薬が繰り返しだされていました。
5か月も咳が長引く患者さんは稀にしても、咳が止まらないという患者さんは当院では頻繁に診ています。こういう患者さんには、“目を覚まして”頂く必要があります。
そこでよくいう台詞が「風邪じゃないから、風邪薬が効かないんじゃないでしょうか?」です。そう言うと多くの方が、我に返ってくれます。「あれれ!?」とか「確かにそうだ」と気付いて頂ければしめたものです。
ここで、敢えて“誤診”という言葉を使うようにしています。それにしても、11月から咳を長引き続けさせたかかりつけ医の責任は大きいと思います。しかし、医師は一生懸命やっていることになっているので、責任は問われません。私は「職務怠慢」と言われても仕方ないと思います。
いつものストーリーでぜんそくが見逃されていたのですが、ぜんそくさえも見抜けなかった医師を“信用”し続けて、通い続けていた訳です。小児科医で、ぜんそくを診たことのない医師はまずいないでしょう。それくらいポピュラーな病気です。それを診断できないとなると、私はその医師の実力を疑わざるを得ません。
一方、患者さんからすれば、子どもの病気に詳しいお医者さんに全てを委ねており、“誤診”されているなんて考えは微塵もないと思います。要はその医師を信じ切っているのです。
これは、もはや「宗教」と言わざるを得ません。教祖さまと、それを信仰し続ける患者さんという構図です。
更に言えば、本当なら「自分には手に負えない」と専門医に紹介状を書く“責任”があるのですが、責任を果たさない医師がほとんどです。結局、患者さんが教祖さまに見切りをつけて、別の医師を訪ねることになります。
このやり方の最大の問題点は、教祖さまは自分が“誤診”したことに気付かないのです。特に開業医は、患者さんや他の医師が「あなた、間違っているよ」とは言ってくれないため、自分の過ちに気付きません。
これは私にも言えることで、私自身も知らずに患者さんにご迷惑をお掛けしているかもしれないのです。そこで気をつけていることは、「前回よりも症状が良くなっているか」ということです。
自分の診断や治療が正しければ、少なくとも症状は悪化しないはずです。感染症などでは、自然治癒力で治ってしまう場合もありますね。いずれにしても、症状が良くなっていれば、患者さんも不満もない訳で、そもそも病気で困っているから、医療機関を訪ねています。
ぜんそくやアトピー性皮膚炎は1週間もあれば、たいていは治療効果が分かります。この医師は信用できるか、判断できるのです。
ぜんそくやアトピー性皮膚炎を見逃す小児科医、皮膚科医、あと今回のケースもそうですが耳鼻科医は結構目に付きます。しかも“誤診”を繰り返しています。
医師だから信用に値するかと言えば、そうではないと思うし、これまで周囲を見ていて実感しています。こんなにも“誤診”をしていて、許されるのか?と感じる医院さんもありますし、口さえ上手ければ、何とかなるのか?とさえ思うケースもあります。
よく質の低い医療を「3分診療」を表現されますが、本当の風邪程度の軽い疾患には、私も3分はかけていません。良くなっていないのに同じ薬を出し続ける医師を、私は「ヤブ医者」と思っていますし、そういう患者さんには3分以上の時間がかかってしまいます。改善の糸口を見つけるまで、更なる問診や検査をしたりで、時間をかけなければいけないのです。
ただ、くどくど説明するだけで、治療しても一向に症状が改善しなければ、それもどこかが間違っているのだろうと思いますし、時間をかける医療が良いとは必ずしも言えないことでしょう。
「お医者さんに任せれば間違いない」という考えは、敢えて言えば患者さんの妄想と言えるかもしれず、「症状が良くなっているか」、それが医師を評価する最大のポイントだろうと思っています。


