先日、新発田市から患者さんが来られました。
新発田と言うと、先週も講演に行きましたが、当院から160キロ離れています。そんなところから小児科、しかも開業医に患者さんが受診することは普通はないと思います。
遠路遥々、お母さんの運転となると申し訳ない気持ちになりますが、自分の中ではそれくらいの価値のあることをやっているつもりです。
毎週水曜の午後に医院が休診なのを利用して、県内各地に講演をしに行っていることはご存知だと思います。この患者さんとの始まりは、新発田市が主催した食物アレルギーの講演会でした。
新発田市内にはエピペンを預かっている学校が数校あるそうです。私自身は自分が処方したエピペンを預かってもらう場合は、こちらから出向いていましたが、最近は自分が処方していなくても、園や学校現場が困っていれば出掛けるようにしています。
今回のケースはまさにそれでした。市の開催する研修会は、園や学校から1名程度の代表者が話を聞きにくることが多いようです。私の話を聞く機会があり、「これは学校の先生にも聞かせたい」と思って頂ければ、その学校へ予定を合わせて出向くようにしています。
学校での研修会にはお母さんも聞きに参加されており、病状の相談にも乗ったのですが、違和感を覚えました。「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という診断なのですが、原因食品がエビ、カニ、小麦なのだそうです。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、10代から見られ始め、原因食品は小麦が6割、甲殻類が3割といわれています。今回の患者さんの場合、確率論からいけば“9割”はカバーします。
しかし、食物アレルギーの世界では、「必要最小限の除去」が原則です。原因でないものを除去し続けるのは、患者さんの生活の質が著しく低下してしまうのです。話を聞いていて、果たしてエビカニの他に小麦を除去し続けるのが妥当だろうかと思っていました。
ちなみに、小麦にアレルギーがあるということだったので、弁当持参を余儀なくされていました。エビカニだけなら除去してもらえるものの、小麦があるが故に除去しきれないと判断された結果が弁当対応だったのです。
数年前から運動をするとアレルギー症状が出るとのことで、ある小児科を受診します。そこで「食物依存性運動誘発アナフィラキシーかもしれないから、小麦を除去しなさい」と言われます。それ以来、小麦を除去しているそうで、多分この小児科医の根拠は“頻度が高いから”のようです。
敢えて言えば、この程度の“根拠”で医療をされたら、患者さんはたまったものではありません。血液によるアレルギー検査だけでは確定には至りませんが、せめてそれくらいはやるべきでしょうが、それすら行なわれていませんでした。
患者さんにとっては、お医者さんの言うことは“絶対”です。それ以来ずっと小麦は学校で除去する生活が続いていました。
そういう生活を送っていましたが、アナフィラキシーを起こしてしまい、総合病院を受診し、甲殻類が原因ではないかと診断されます。検査がクラス4か5と高く、これまでのアナフィラキシー症状はいずれも甲殻類を食べており、因果関係が認められました。
甲殻類が原因と結論づけても良さそうです。(つづく)


