小児科 すこやかアレルギークリニック

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治療と処方は違う
2014年01月07日 更新

年末年始の休診も終わり、通常通りの生活に戻りつつあります。

前日に幅が1メートル以上、30キロもある本棚を自宅から医院の2階まで一人で運んだので、少し筋肉痛でしたが…(汗)。

昨日も負荷試験を実施しました。先月、食物アレルギーで相談に来られた患者さんがいらっしゃいました。

ずっと“魚卵アレルギー”ということでイクラやタラコなどを除去し続けていたけれど、この春小学校にあがることを理由にどうしたらよいか相談に来られたのです。

一般的に子ども達が口にする魚卵と言えば、イクラ、タラコ、子持ちシシャモでしょうか?。イクラは給食にはあまりでないかもしれないけれど、お弁当の日に他児がおにぎりとしてイクラを持ってくるかもしれません。口に入る可能性はゼロではありません。

先月、立て続けに2回魚卵の負荷試験をやっています。まず子持ちシシャモ、イクラで実施しました。結果は、子持ちシシャモは何ともありませんでしたが、イクラは食べ始めてまもなくじんましんが出てきて、抗アレルギー薬で治療をせざるを得ませんでした。

昨日は、タラコを用いました。タラコは生と焼いて食べますが、焼いたもので実施しました。結果はあっさりクリアしています。

ということで、魚卵はイクラのみ除去すればいいことが分かりました。「うちの子は〇〇アレルギーがある」とおっしゃる親御さんもいますが、負荷試験をやったらあれもこれも食べられることが分かったという話はよくあります。

イクラアレルギーがあるからといって、他の魚卵も一様に除去すべきものではありません。専門でない医師は“一緒くた”にしている傾向が強いのですが、突き詰めれば食べられるものと食べられないものに分けられます。

「みる」という言葉は一般的には「見る」でしょうが、医療に関するものは「診る」だと思います。私はこの「診る」はキチンと診療することだと捉えており、「魚卵を除去しなさい」というのは「見る」で、負荷試験をやって白黒つけ、患者さんに指導することを「診る」というのだと思っています。

「診る」と「見る」の違いを患者さんは見極めて欲しいと思っています。

先日、当院にぜんそくでかかっているお子さんが、他の病気で他院を受診し、ある病気のために薬を飲み続ける必要があると判断されたそうです。その医師が言うには、「ぜんそくの薬なら、うちでも出す(処方)ことができる」のだそうです。

この辺でアレルギー専門医と言えば当院しかなく、ぜんそくの専門的な治療を行なっています。ぜんそく治療の最終目標は、ぜんそくを治し、大人に持ち越さないことだと思っています。

ぜんそくは慢性の病気なので、すぐには治りません。軽ければ、症状の悪化した時にのみ治療するくらいでいいでしょうし、重ければ継続的な治療が必要になります。重症度によって薬を使い分け、症状を抑え込むことが大切です。

最終目標は先ほど述べましたが、目先の目標は、園や学校を休まず、運動も含め他児と同じような生活が送れることだと思います。

「言うは易し、行うは難し」だと思いますが、風邪を引くこともあるでしょう。そうすればぜんそくは悪化してしまいます。昨日も触れましたが、悪化要因を考え、対応できるものであれば、速やかに改善させる努力が必要です。

専門医は、ぜんそくを長い目で“診て”、症状を出ないように対応します。日頃、食物アレルギーのことを中心に書いていますが、ぜんそくも力を入れています。他院でぜんそくを見逃されていたり、治療不足で発作を繰り返す患者さんにも対応してきました。

私はぜんそく患者さんに遭遇すると、「絶対に大人に持ち越させたくない」と考えます。確かに私が診ても治せないくらい重い、治りづらい患者さんもいますが、多くはそこまで重くないので、日頃から責任を持って管理し、症状を安定させたいと思っています。

先程「診る」と「見る」は大きな違いがあると言いましたが、「治療」と「処方」にも大きな差があります。

例えば、私だって医師の端くれですから、高血圧や糖尿病の薬を「処方」する権利はありますが、「治療」し続けるには知識も経験も不足しています。責任を持った診療はできません。

これはあくまで私の認識でしょうが、「処方」は単に薬を出すことで、「治療」とは責任を持って症状を改善させることだと捉えています。もちろん、ぜんそくに関する専門的な知識や技術は必要になります。

ぜんそくは結構な頻度で患者さんがいるため、多くの小児科医が診ているのだと思いますが、本当に専門的に、さらに熱意を持って診療されているかは、そうでないケースも残念ながらよく見かけます。

一緒に薬を処方してもらえることは親御さんにとって魅力的なのかもしれませんが、目先のことに惑わされて欲しくはないと思っています。ちなみに、今回の親御さんは私を信頼していると断って下さったようです。

特に開業医の場合、通院する患者を増やすことは、経営が潤い、収入が上がることを意味します。誰だって収入は上げたいと思うと思います。ただ、いくら収入が上がろうと、責任を持って診療できなければ私なら引き受けません。

多くの医師が自分の専門性や技術を活かし、責任ある医療を行なえば、もっと役割分担ができると思います。冒頭の魚卵アレルギーと言われていたお子さんも、早く専門医にかかっていれば、子持ちシシャモやタラコの除去はせずに済んだのだろうと思います。前医が自分には責任が持てないので、専門医に紹介しますと言ってくれれば、それで良かったのです。

敢えて言いますが、その辺りが曖昧になって専門医に患者が辿り着けなくなっているのが、日本の医療の現状なのだといます。曖昧の方が、収入が保てる医師もいると思うのです。

親御さんが自分の子どもを守るためには、「診る」と「診る」、「治療」と「処方」の違いを認識しておいて頂きたいと思っています。