小児科 すこやかアレルギークリニック

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やっぱり難しい
2014年07月26日 更新

昨日、ぜんそくで定期通院している患者さんが気付いたら受験生になっていたことに触れました。

アレルギーの専門医は、子どものぜんそくを大人に持ち越さないよう丁寧かつ慎重に治療していきたいところだけれど、“のど元過ぎれば熱さ忘れる”じゃないですが、症状が落ち着いてくると、通院しなくなる患者さんも結構多く、患者さんに明確なものを示しづらく、なかなか思うように治療できないという話もしました。

最近始まったドラマ「HERO」のバーのおじさんじゃないですが、「あるよっ!」って感じでしょうか(笑)。

その受験生の患者さんの小学校の高学年の頃、つまり数年前まではぜんそく症状を時々起こしていました。その時に「呼吸機能検査」をやっていたのですが、細い気管支を表す部分が100%あるところが70%ほどしかありませんでした。

「呼吸機能検査」は専門医しか行なっていないであろう、ぜんそくに不可欠といえるような検査です。そういう意味でも、発作を繰り返す患者さんは、非専門医は診るべきではないと思っています。ぜんそく患者さんは、重症であっても発作を起こしていなければ、普通のお子さんに見えるのです。

「呼吸機能検査」は、過去にも何度か触れていますが、胸に貯めた空気を機械につながれた筒の中に一気に吹き込む検査です。気管支の太いところ、中くらいなところ、細いところとそれそれに分けて点数化できます。

ポイントは“細いところ”でしょう。例えば、10ミリの太さの気管支が「1ミリ」狭くなれば太さは9ミリに減りますが、3ミリの太さが「1ミリ」狭くなれば、一気に3割狭くなってしまいます。

ですから、「呼吸機能検査」では細い気管支を表す部分を注意してみるのですが、今回の患者さんは70%程に低下していました。ちなみに、私が以前やった時は110%以上あったと思います。つまり、平均を上回る結果でした。

こういう70%くらいの状態の患者さんには、“いつでも発作を起こせるスタンバイ状態になっている”と説明しています。こう言うと伝わるのかなと思っています。実際、運動した時にみられる「運動誘発ぜんそく」も起こりやすいと思っています。

気管支が狭くなっていると、吸入ステロイド薬をせっかく吸っても、気管支の奥へ入っていかないことでしょう。ということで、吸入ステロイドに気管支拡張効果のある薬を混ぜてある「アドエア」という吸入薬を選択して、治療を開始させて頂きました。

この患者さんの数値は覚えていませんが、次に受診された時に70%だったものが、100%近くに改善していることは経験します。ちなみに、ぜんそくであっても70%に低下しておらず、元から100%くらいの良い値を示す患者さんもいます。軽ければさほど低下はないけれど、重いと低下していることが多いのです。

こういう患者さんの場合、70%と低かったものが100%まで上がることを目で示すことができます。視覚化することで、治療を継続しにくいぜんそくという病気をモチベーションを持って治療できるようになると思っています。

今回の患者さんは、真面目に通ってくださっていたので、じきに100%くらいまで改善しています。だいぶ良い状態が続くと、治療薬をランクダウンできないか考えます。頃合いをみて、「アドエア」から気管支拡張薬を外した「フルタイド」にランクダウンを果たしています。

治療が足りないと、また「呼吸機能検査」が低下してくるのでしょうが、時間を掛けて治療したせいもあってか、今でも90%半ばの良い値をキープしています。

70%と「呼吸機能検査」が悪かったため、しっかりと継続的治療が必要であると説明していたため、本当に真面目に通院して下さっており、最近は発作すら起こさなくなりました。このままぜんそくがうまく治って欲しいのですが、まだ確約が取れた訳ではありません。

もちろん、良い状態になれば更に治療をランクダウンすることも考えているのですが、受験生でもあり、下手に薬を減らして調子を崩し、受験勉強に差し支えても困ります。ということで、受験が終わったら、ランクダウンを考えています。

今回は、「呼吸機能検査」を示し、目に見えない気管支へのダメージの存在を明らかにすることで、治療のモチベーションを上げられたのかなと思っています。

ただ、それでも治療を止めてしまう患者さんは存在します。そういう患者さんがひょろっと受診されると、「ぜんそくの状態がさぞかし悪いだろう」なんて思うのですが、意外と悪くなかったりします。

病気の場合、自然治癒力があるということなのでしょう。「呼吸機能検査」が悪ければガッツリと治療しなければならないと思うのですが、例外的でしょうが、意外にも悪化しない患者さんもいます。

いろんな意味でぜんそくの治療は難しいと思っています。