小児科 すこやかアレルギークリニック

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第一歩になれば
2014年08月22日 更新

日々、真面目に診療しているつもりです。

診療が終わる夕方くらいになると、だいぶエネルギーを消耗してしまいます。夏場は感染症はさほど流行らず、小児科医はヒマなことが多いのですが、全然ヒマになりません。

いまだに新患も多く、今度触れようと思っていましたが、九州の患者さんも受診しています。ご実家がこちらにあり、実家の方から当院の受診を勧められて受診されたそうです。こんなケースはよくあることで、有り難いことです。

そう言えば、春に北海道の患者さんが当院を受診され、地元の皮膚科から卵と大豆を完全除去するよう指導されていましたが、北海道に帰るまでの1週間の中で、卵と大豆の負荷試験をやり、除去が必要ないことを明らかにしたこともありました。

東京や金沢、京都の患者さんもいて、こちらに戻ってこられた際に診せにきて下さったりして、それなりのことはしてあげていられるのかなと思っています。

実は、昨日の夜、上越に相模原病院の海老澤先生が来られました。押しも押されぬ日本の第一人者の先生です。別に私がお呼びした訳ではなく、地元医師会主催の講演会でした。

海老澤先生のお話は何度も聞いています。一昨年の当院独自の啓発イベントである「すこやか健康フェア」でもお呼びしています。

いろいろなお話がありましたが、学校生活管理指導表の運用なども触れられていました。これは小学生から高校生までが対象なので、その年代が限定でした。「そう考えるのか」と思ったのは、小学校に上がる時点でアレルギー検査の数値だけで除去を決められている患者さんをなくべくなくして欲しいということを言っておられました。

生活管理指導表には、診断根拠を書く欄がありますが、①明らかな症状の既往、②負荷試験が陽性、③アレルギー検査が陽性と分かれています。①と②は診断根拠として十分だが、③は診断根拠としては十分でないことを明言されていました。

学校の先生を対象とした講演会でもお話しされていると思うのですが、診断根拠が③が多いと、診断精度が高くないであろうとおっしゃっていました。学校の先生が、医師の実力を診断書を一目見ただけで見抜いてしまうのです。医師の仕事には、こういう緊張感は必要でしょう。

実例を出されていて、東北の某県から受診された10歳のお子さんが、地元の医師からあれもこれも除去するよう指導されていて、卵、牛乳、大豆、小麦など様々な食材を除去されていました。

よくある話で、負荷試験をしてシロクロを付けていった訳ですが、母にしてみればこれまで忌み嫌っていた食品を食べさせるなんて、有り得ない話だろうし、患者さん自身も当初は全く口を開けてくれなかったそうです。そりゃ、そうなりますよね。

結果は、ごく一部の食品しか除去の必要がないことが判明したそうです。まあ、人生が変わるでしょうね(笑)。

ということで、負荷試験の重要性もそういう形で紹介して下さった訳ですが、肝腎の地元で、当院が精力的に負荷試験をやっているのに、周囲の医療機関から紹介がほとんどないため、どこまで地元の先生の心に響いたのだろうかと思います。

また学校給食も、先進国でこれだけ高率に給食を提供しているのが日本くらいであることを教えて頂きました。私は食べられるものは、なるべく食べさせてあげたいと考えていますが、人間はミスをする動物であることを踏まえると、今後学校給食は、アレルゲンを完全除去か否かに集約されていくのかもしれません。

給食対策も大事ですが、診断が間違っていれば、学校側に多大な迷惑を掛けることになってしまいます。つまり、アレルギー検査の数値のみであれもこれも除去しなさいというものです。

国は、食物アレルギーの診断書は医師が書くべきと言っています。ただし、食物アレルギー後進県である新潟県の場合、食物負荷試験がまだほとんど行なわれていないため、やはり正しい診断書が提出されるようになるには、長い道のりがありそうです。

食物アレルギーの診断にはコツがあるのですが、百歩譲って多くの医師がその方法を学んで欲しいのですが、昨日も思った程の参加率ではありませんでした。明日から大きく変わるかと言えば、どうなんだろうと思っています。

先が思いやられますが、海老澤先生が上越に来て下さったことが、地元の食物アレルギー医療にとって第一歩になればいいと思っています。