小児科 すこやかアレルギークリニック

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「何かおかしい」
2015年11月04日 更新

アレルギー診療には大きな問題がいくつもあります。

私の気付いたものをこの場で指摘させていただいていますが、興味を持って診療に取り組んでいる小児科医が少ないということと、慢性の経過をたどる病気で、実際にかかりつけ医のもとを通っても、“誤診”されて改善しない訳ですが、日本の医療は、開業医に大勢患者さんが押し寄せるし、医師も一人当たりに時間を掛けない診療に慣れています。その方が利益も上がります。

アレルギー患者さんは、その渦の中に埋もれて、手を差しのべられていないという状態にいるのだろうと思っています。ぜんそくなら咳、アトピー性皮膚炎なら湿疹が主症状なのですが、“風邪”とか“乳児湿疹”と決めつけられ、治療して改善がなくても、「たかが“咳”(“湿疹”)、放っておけば治る」と思う医師が多いのでしょう。

小児科を受診する患者さんのメインは、風邪や胃腸炎などのちょっとした感染症だろうと思います。当院も風邪や胃腸炎の患者さんは多く診ていますが、自分が治しているとは思っていません。多くがウィルス感染なので、あくまで患者さんの自然治癒力がメインであって、医師はそれをサポートする治療をするのみです。

私の気をつけていることは、風邪や胃腸炎と診断しても、すんなり治らないなどのいつもと違う経過を辿れば、「何かおかしい」と考えるようにしています。「風邪は万病の元」と言われます。最初に風邪症状が見られ、その後どんどん別の病気の症状が出てくることもあります。

多くの患者さんは「肺炎」という言葉に敏感ですが、風邪がこじれて肺炎になってしまうこともあります。それは医者が誤診したかということではなく、病気の進行により、状態が変わったということでしょう。

ですから、熱が続き、咳もひどければ、胸のレントゲンを撮るなり、乳幼児で痰がらみもひどければ、RSウィルスの検査をした方がよかったりします。

意外と最近多いのは、長引く下痢です。確かに最初は胃腸炎症状だったのですが、1週間も治らないとなると、私ならおかしいと考えます。実際、先日受診された患者さんはある医療機関で胃腸炎と診断されていましたが、下痢が2週間ほど治らないと、当院を初診してくださいました。

ありがたいことに、周囲の医療機関で良くならないと、当院を頼ってくださる患者さんは少なくないように思います。このケースの場合、まだ乳児であり、ミルクを飲んでいました。ミルクを飲んだあとに下痢をするとなると「乳糖不耐症」をまず考えねばなりません。

因果関係が明らかなケースも多いのですが、今回はちょっとだけ心配でした。ただ、私の中で乳糖不耐症が一番可能性が高いと思ったので、その治療をし、後日再診していただくことにしました。

蓋を開けてみると、症状は速やかに改善し、下痢は止まったそうです。治療して、大きく改善すれば、その病気があったという証明になると思っています。親御さんも何度か前医に通っても改善がなかったので、とても嬉しそうでした。私もそういう顔を見るのが好きです。ちょっとだけ貢献できたとホッとします。

乳糖不耐症という病気、一部の医師しか診断できないかというと、そういう訳ではなく、多くの小児科医が経験している病気だと思います。

症状が長引く傾向にあり、忙しい診療の中、「何かおかしい」と気付いて、問診を丁寧に取り直せば、多くの小児科医が診断できる病気だと思っています。

アレルギーも同じような立場にあるのだろうと思っています。医師が症状が長引いて、「何かおかしい」と気付いてくれた、もっと患者さんは救われるのだろうと思っています。