小児科 すこやかアレルギークリニック

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PACI2
2023年04月18日 更新

昨日お話ししたPACI STUDYについてです。

ざっくり言えば、乳児アトピー性皮膚炎はかなり早期から発症し、経皮感作のタイミングも早いので、早期から湿疹を完璧に抑えたら卵アレルギーが減るかどうかを明らかにする研究です。

最近の研究の手法は、ふたつのグループを比較する必要があり、いまだに一般的な「湿疹部にステロイド軟膏を塗り、改善したら止めて、悪化したたまた塗る」というやり方で、もう一方は「湿疹のない部分にもアトピー性皮膚炎の変化は存在するので、全身性にステロイド軟膏を積極的に塗布する」という、いわゆるプロアクティブ治療を比較しています。

生後7ヶ月の時点で評価すると、前者、つまり多くの患者さんが受けているであろう対応だと、卵アレルギーの発生が41.9%であり、後者、つまり積極的な治療群では31.4%でした。割合にして25%卵アレルギーの発症を減らすことができたということでした。

個人的な意見を言わせていただくと、こういったケースでは多くの小児科医、皮膚科医が「乳児湿疹」などと診断し、保湿剤を塗るよう指導していたり、弱いステロイド軟膏を薄く塗ったり指導するケースを多くみています。

敢えて言えば、アトピー性皮膚炎と診断されずにかなり中途半端な治療をされているケースが多いので、世間的には卵アレルギーの発生は多くなるかもしれないということです。

ただ、今回の研究では食べさせ方が評価されていません。慎重に時間をかけて卵を食べさせていくと、卵アレルギーの発生を減らすことができるのだろうと考えています。

つまり、多くの親御さんが卵アレルギーを心配しているので、必然的に与え方はゆっくりになると思います。ですから41.9%よりは少なくなるというのが現状なのだろうと考えています。