小児科 すこやかアレルギークリニック

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有り得ない診断書
2009年03月10日 更新

昨日も食物アレルギーで困っている患者さんのために、小児科医が親身になって立ち上がらなければならないと書きました。

食物アレルギーの専門的医療をやっている小児科医は極めて少ないので、当院には上越市内や市外からも食物アレルギーの患者さんが受診されています。最近は、新学期に向けて園や学校での給食に関する「アレルギー診断書」の記載を求められることが多いです。何が食べられて、何が食べたらいけないかを主治医として記載するのです。

先日、当院で診ている患者さんの中でトップクラスに重症の患者さんが受診されました。以下を読んで頂ければ、その重症さをご理解頂けると思います。多分、普通の小児科医の先生なら対応は難しいでしょう。少しは食物アレルギーの心得のある私自身も何とか少しでも食べさせてあげたいと、必死になって診療しているといった感じです。

このお子さんはこの春に園に上がるので、初めてのアレルギー診断書を書くことになりました。書いた内容と下にお示しします。

卵:完全除去、ミルク:完全除去、小麦:ほぼ完全除去(調味料可)、大豆:ほぼ完全除去(調味料可)、魚:完全除去、ナッツ類:完全除去、甲殻類・軟体類・貝類:完全除去、野菜:一部除去、果物:一部除去

信じられますか?。このお子さんは、何を食べればいいのでしょうか?。ご自分のお子さんがこうだった場合を想像してみて下さい。

これは、決して血液検査だけで判断したものではありません。こういう患者さんをアレルギー検査のみで判断していると、アレルギーの体質が非常に強いため、調べるもののほぼ全てが陽性になっていますので、食べるものが何もないということになります。ほとんど全てが食べて症状の出るものなのです。

お母さんも結構チャレンジされていて、じんましんやアナフィラキシーに至ってしまったこともあります。そういうものは、除去せざるを得ません。実際に当院で負荷試験をやって、食べられないと確認したものもあります。ちなみに以前は米もダメでしたが、食べられるようになってきています。

ここまでいくと、“食べられるものを探す”ことが重要になってきます。そうしなければ栄養失調になってしまうのは避けられないでしょう。やはり「食物負荷試験」は必要不可欠であることがご理解頂けると思います。

病気を持ってしまったことは事実であり、受け入れざるを得ません。現実的に、こういうご家族の幸せって何でしょう。あれもこれも食べちゃダメダメということではないですよね?。小児科医がご家族と一緒に、何が食べられるかを明らかにすることだと思いませんか?。

かと言って、ちょっとさじ加減を誤ると、本当にアナフィラキシーなどの重いアレルギー症状を起こしてしまいます。お子さんの成長と発達のために、食べさせる努力が必要ですが、当然のことながら、アレルギー症状は極力避けなければなりません。でも食べさせてみなければ、食べられるものが相当に制限されてしまいます。このジレンマが重症食物アレルギーの患者さんの現状でしょう。

ここまで重症な患者さんは、極めて少数と思われます。しかし、少ないからといって見て見ぬ振りができる訳ではありません。逆にこういう患者さんほど、手厚く保護されるべきでしょう。

この機会に、日々食べ物でご苦労されている患者さんご家族の毎日を想像されてみてはいかがでしょうか?。