直前にならないとエンジンがかからないのが、私の悪いクセです。2016年もそれは健在です。
2月に入り、学会発表が迫ってきました。データ入力、間に合いません(涙)。昨年12月いっぱいの当院の負荷試験のデータを入力し、それに基づいた最新のデータでの発表を目論んでいましたが、ダメそうです。
いま、ある紙面に出す原稿を書いており、来週から2週連続である学童保育の指導員の資格試験の講義の準備もしなければなりません。また学会発表の抄録を読んだ医学書の編集部から取材依頼があったりと、結構大変です。
それで、データ入力は、“できるところまで”と方針転換しています(汗)。
さて、他院の尻拭い的なことを連日やっています。先日初診された1歳の患者さんですが、アトピー性皮膚炎が見逃されており、しかも中途半端な治療が続けられており、多分その結果として経皮感作が進み、食物アレルギーが悪化したであろうケースです。
数ヶ月前の検査で、アレルギー検査の結果が卵6、ミルク6、小麦6だったそうで、今回再検させていただきました。結果はこうです(画像)。
卵白6、ミルク6、小麦6と多くの医師が「万事休す」と考えると思うような数値が並んでいます。ここまで派手な値だと、おそらくほとんどの医師がサジを投げるのではないでしょうか?。
それでも、親御さんには負荷試験の説明をしました。患者さんがショックを受け、身動きできなくなることはあっても、医師があきらめたら何も始まらないことになります。
まだ1歳なのでピーナッツやイクラは、通常食べさせるものではないし、ソバとキウイは除去してもらうことになりそうです。一番困るのは、やはり卵、乳、小麦でしょう。普段我々が口にするもののほとんどに、これら3大アレルゲンが含まれるからです。これは子どもとて同じこと。
時間が巻き戻せるなら、湿疹が出た時点で当院で治療したいところでした。アトピー性皮膚炎とキチンと診断し、症状に見合ったステロイド軟膏を選択し、皮膚症状を抑え込んだと思います。もしかしたら、卵やミルク、小麦の数値はここまで上がらなかったかもしれません。
現時点で、「たら」、「れば」の仮定の話をしても仕方なく、いかに前を向いて進んでいくかが大切です。具体的には、負荷試験を進めていくということになります。
こんな状況で負荷試験を勧めるなんて、「クレイジーだ」と思う医師も少なくないと思います。この分野は日々努力しているつもりなので、私も“クレイジーな領域”に足を踏み入れたのかもしれません。
まず卵白。クラス6です。加熱したものならどうかということで、オボムコイドも調べていますが、これもクラス6です。加工品であっても厳しそうです。
私は、ゆで卵の卵黄で負荷試験をやろうと思っています。卵で問題になるのは卵黄ではなく、卵白の方ですが、ゆであがった卵黄は、卵白と接しているので、微量の卵白を含みます。それさえも食べられないのかどうかを判断しようと考えています。
次はミルク。多くの専門医が思っていることでしょうが、卵や小麦よりもミルク6の方が食べさせにくいと感じていると思います。牛乳を除去した場合、問題になるのはカルシウム不足です。
1歳は過ぎていますが、アレルギー用ミルクを使うことができれば、カルシウム不足解消につながると思われます。ミルクアレルギーがあっても、アレルギー用ミルクを利用できることが多いですが、一部の重症者はこれでさえもアレルギー症状が出てしまうことがあります。それを確認する必要があると考えています。
更に小麦。先ほど触れたオボムコイドは、卵白よりも卵の摂取状況をはかるモノサシに使えると言えるでしょうが、小麦で同じような立場にあるのがω-5グリアジンとなります。画像にもあるように、この数値はクラス3と低くなっています。もしかしたら、うどんは少し食べらせるのかもしれないと考えています。うどんを数センチから試してみたいと思っています。
ということで、こんな状況でも負荷試験はやるべきと考えています。これが例えば3歳なり、6歳の子の検査結果であれば、さすがの私も厳しいと思うかもしれません。長い間除去してきた方が、解除が難しいからです。
この子は、卵も乳も小麦も食べたことがないので、厳密には卵アレルギー、牛乳アレルギー、小麦アレルギーとは言えないのです。しかも1歳という低年齢です。日頃の負荷試験の経験から、低年齢のうちから食べさせた方が有利という印象を持っています。下手に先延ばしするよりは、早く食べさせてみたいと思っています。
親御さんも私の意向をくんで下さり、近々負荷試験に進めそうです。おそらく99%くらいの医師が完全除去を勧めるでしょうから、もう既に対応が異なってきています。
当院のこれまでのデータでは、様々なアレルゲンでクラス6の患者さんに対し、のべ65回負荷試験を行っていました。食べてくれず判定保留の3件を除くと、勝率は75%を超えています。これもある意味、クレイジーな結果と言えるのかもしれません。
クラス6でも何が何でも前に進みたいと思う姿勢は、自分でもちょっとは見上げたものだなと思っています(笑)。



