小児科 すこやかアレルギークリニック

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誤使用
2014年04月23日 更新

先日、20代の患者さんが当院を初めて受診されました。

アトピー性皮膚炎だったのですが、本当は当院ではアトピーやぜんそくの大人は診ていません。何でも引き受けて診れば、収益を上げることはできるでしょう。そうやっている医院もあるでしょうが、「責任を持って診る」というのがポリシーですし、大人を診ることでアレルギーの子どもを診る時間がなくなれば本末転倒です。

しかも、大人のアトピーなら皮膚科、ぜんそくなら呼吸器内科という受け皿があるはずなので、診ないようにしています。ただ、講演に行ったあと、「成人しているんだけれど、うちの子を診てもらえないか」なんて頼み込まれることもあり、これは例外的に引き受けざるを得ません。

今回の患者さんは、隣街から受診されました。当院を受診されたいきさつは聞いていませんが、これまでの経過を聞いて、うちで診なければいけないのかなと思うようになりました。

先程、「受け皿がある」とは言いましたが、子どものアトピー性皮膚炎を診断できない皮膚科医もいて、正直言って、受け皿がない場合もあるのだろうと思います。その結果として、当院ではお子さんですが、新潟市、三条市、長岡市などからも患者さんが通院されています。潜在的に当院で診なければいけない患者さんは多いのだろうと思っています。

今回の患者さんは、内科にかかっていました。以前も触れたことがありますが、「プロトピック」という薬が出されていました。

これはステロイド軟膏とは異なる薬で、「ライフ チェンジング ドラッグ」という異名を取る塗り薬です。言わば「人生を変える薬」なのです。

アトピー性皮膚炎の場合、特効薬的な治療薬はなく、ステロイド軟膏で皮膚の炎症を鎮めるという対応が用いられます。長期間連用すると副作用の問題もありますが、先に述べた「プロトピック」は、炎症のある皮膚から吸収され、そうでないところからは吸収されないという特徴を持つため、副作用が出にくいとされます。特に皮膚の薄い顔や首には重宝する薬です。

成人用を3倍に薄めた小児用の「プロトピック」もあり、子どもでも使えるし、効果があることは私も経験として分かっています。

この薬が発売された当初は、私も並々ならぬ興味を持っていました。しかし、新しい薬は往々にして注意点などがあるもの。学会で繰り返し「プロトピック」の使い方を学んでから使用しています。

注意点はいくつかありますが、その1つにとびひなどの皮膚に感染がある場合は使わないことが挙げられます。皮膚が傷んだところに塗り、薬が傷口から一気に入ると効き過ぎて刺激感が強くなると言われています。

それを避けるには、ステロイド軟膏等で一旦皮膚を綺麗にし、その状態を「プロトピック」で維持することがポイントだと、プロトピックの使用に関する講演で学びました。

で、今回の患者さんですが、掻き壊して感染を起こしているにもかかわらず、内科から「プロトピック」が出されており、その刺激感により、患者さんにとっては使いたくない薬という汚名を着せられていたのです。「ライフ チェンジング ドラッグ」ではなく、要はトラブルメーカー的に思われてしまっていました。

今回は、内科で誤使用されていた訳ですが、以前は皮膚科医が同様なケースで10代の子の顔にプロトピックを処方しており、患者さんはやはり使いたくない薬だと誤解していました。一旦治療した上でプロトピックに切り替え、“汚名返上”することができました。

もちろん適切に使っているドクターもいるのでしょうが、こんな風に「アトピーにはプロトピックを使えばいい」程度の知識で、注意点も守らず安易に処方する医師も存在するのだと思いしらされました。

折角の武器を上手に使わなければ意味がない、医師はもっとよく理解した上で使うべきなのだろうと思っています。