いつも新潟県のアレルギー医療のレベルについて言及しています。
患者さんからすれば「お医者さんの言うことは正しい」とお思いでしょうが、分野によってはガッカリするくらい間違っていることもあるのです。それを知らずに、親として子どもにベストのことをしてあげていると考えている親御さんも多いことでしょう。それに待ったをかけるのが、私の仕事だと思っています。
「分野によっては」と言いました。例えば、インフルエンザの流行期にお子さんが熱を出して、グッタリしたとします。「これはインフルエンザではないか?」と考えますよね?。それは医師も同じです。
じゃあ、鼻に綿棒を差し込み検査をして、インフルエンザかどうか調べようということになります。検査でインフルエンザと判明すれば、タミフルやリレンザといった特効薬が出されます。全国津々浦々でこういうことが繰り返されているし、医療のレベルはほぼ全国均一となっていると思います。
更に、発熱してすぐに医院に駆け込んで検査が陰性だと、「検査のタイミングが早過ぎて出なかった可能性があるので、明日再検した方がいいですよ」と言われれば、患者さん皆が納得します。そこまで広く知識が広まっているからです。
ひるがえって、食物アレルギーはどうか?。アレルギー検査の数値だけで食べられる、食べられないの判断をされており、新潟では感覚的には9割以上の患者さんが「食物負荷試験」の存在を知らないと思います。
患者さんは、病気には“素人”だから医師のもとを受診するのですが、インフルエンザはどの医師の言うことも一緒だからそうなるのですが、食物アレルギーに関してはごくごく一部の専門医が負荷試験の存在を説明しているだけで、敢えて言えば、多くの医師が負荷試験の存在を“隠蔽”しています。本当に知らない医師もいるでしょうが、例えば地元の小児科医なら知らないはずはないのです。
この差は、医師が患者さんに正しいことをやってあげたいと思うかどうかだと思います。均一の質の高い医療が提供されるべきはずが、医師の良心とかプライドの問題になってしまっています。残念ながら、医師全員が良心やプライドを持っていれば、負荷試験はもっと広まるはずなのです。
先日、名古屋から転居されてきた患者さんが当院を受診されました。食物アレルギーの相談だそうです。
名古屋と言えば、食物アレルギーのガイドラインの作成メンバーが2人も含まれます。“本場”と言っていいでしょう。ところが、相当おかしなことをされていました。
まず、アトピー性皮膚炎が見逃されていました。食物アレルギーの相談に来られましたが、だいたい私の場合は、診察室でアトピーの話からしています。その時点で、「前医はアレルギーに詳しくない医者なんだな」と分かります。
1年以上前のアレルギー検査で卵白がクラス1、サケが2という数値を根拠に卵製品を制限し、サケも除去していました。いつも言うように、食べられるものって時間ととに変化し、以前は食べられなくても今は食べられるかもしれません。そもそも、卵やサケを食べてアレルギー症状が出た訳ではないので、卵やサケにアレルギーがあるかどうかさえも言えない状況です。
専門医のそれとはかけ離れた説明や指導がなされていた訳です。地元が本場にもかかわらず、こういう指導をしていたとなると、「なぜ身近にいる専門医に相談しないのだろう?」と不思議でなりません。かかりつけ医が良心的で適切なことをやりたいと思うタイプの小児科医ではなかったのだろうと言えます。
これを患者さんが運がなかったと言うべきでしょうか?。日本の保険診療は、研修医が診ても経験豊富な専門医が診ても「同じ」です。それが建前なので、私は医師の努力不足や良心的でない対応が問題だと思います。
アトピーなり食物アレルギーがあり、その医師が責任を持って診ていれば、その患者さんが転居される場合、普通は紹介状を持ってきます。その紹介状さえ持ってこなかったところを見ると、そこまでの責任を感じていなかったのだと思います。
本場だから、レベルが高い訳ではない。結局は、医師個人の資質が左右するのだろうと思っています。


