小児科 すこやかアレルギークリニック

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ガチンコ
2012年05月23日 更新

小児アレルギー学会の発表の要旨をあらかじめ提出しなければならず、その期限が迫ってきました。

毎日ヘトヘトになって診療して、その後、家に帰って準備をしていますが、なかなか進みません。

当院では、卵や乳の加工品を使って「食物負荷試験」をやっています。通常だと、卵なら卵焼きやゆで卵、乳は牛乳を食材に使うのですが、より薄く含む加工品を使えば、アレルギー症状が誘発されにくいため、同レベルの加工品など食べられるものが増えるというのが私の発表の趣旨です。

ただ、食物アレルギーの専門医として多くに患者さんの意向に添った負荷試験をやり、患者さんの期待に応えなければなりません。確かに卵、乳、小麦がメジャーなアレルゲンではありますが、例えば強い症状を起こしやすいとされるピーナッツやソバ、エビなども負荷しなければならないこともあります。

先日も、負荷試験を4人やりましたが、そのうちの2人はピーナッツとサバの負荷でした。これらを負荷する場合は、ガチンコというか、“直球勝負”です。つまり、そのものを用いますし、ピーナッツなら10粒、サバなら焼いたものを30gという十分量を少しずつ食べさせるのです。

私のやり慣れた加工品を用いたやり方なら、含まれるアレルゲンが薄いので「だいたいこれくらいなら大丈夫だろう」という量をスタートとして食べてもらいます。しかし、いわゆる治りにくいとされるアレルゲンだと、卵や乳よりは試験をした経験が少ないので、開始時は緊張しない訳ではありません。

ただ、私も負けるケンカはしたくありませんし、それなりの根拠を持ち、「食べられそうだ」と思うもので負荷試験をやっています。

ピーナッツは、アレルギー検査の結果がさほど高くはありませんでした。一方、サバの方はアレルギー検査がクラス4で、抗体価は35くらいと充分高い値です。

サンプソンというアメリカの超有名な先生が、魚では抗体価が20以上だと95%の確率で負荷試験で症状が誘発されると言っています。検査値は充分に高いということが分かります。ただ、卵白の値がクラス6でも卵焼きを食べられたお子さんだったため、サバの値もやや信憑性が薄れてしまっています。ただし、“本物”の値かもしれません。

こうなると悩んでも仕方なく、食べさせてみるしかないのです。正直、魚でこれ程までに検査値が高い負荷試験は、初めてのことかもしれません。ピーナッツもサバも、緊張感のある負荷試験になります。

いずれも結局何も起きませんでした。サバの患者さんは、95%ではなく、5%の方に入ったということになります。ガチンコの勝負を制したと言えます。

例外的と言うことなのでしょうが、こういう経験がまた私を大きくしてくれるのだと思います。ガチンコだからこそ、記憶に残るし、無事に食べたときの感動もお母さんと共有できます。

慎重な姿勢は求められますが、これからもガチンコ勝負に挑みたいと思っています。