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2012年05月21日 更新

いよいよ金環食の日となります。

テレビでは、この話題で持ち切りです。新潟は朝から観望日和のようで、元天文少年として楽しみにしています。日曜の夜は夜更かしずに、早めに寝るつもりです。

この金環食の話題の時に一緒に語られることがあるのは、ドリームズカムトゥルーというアーティストの「時間旅行」という曲です。1990年に発表されたこの曲は、私も大学時代に何度も聞き慣れた歌でした。その歌詞の中に「2012年の金環食まで」というくだりがあります。当時は何も考えず聞き流していたのですが、それがいざその日を迎えるとなると不思議な気がします。

1990年といえば、医学部に在籍していた頃でした。あんまり勉強していなかったので(汗)、時間はたっぷりありました。今の診療の他に、外に出て食物アレルギーを中心に啓発活動を行っており、猫の手も借りたい程の忙しさの中にある自分は想像もできませんでした。

実際に医師になって、いろんなものが見えてきました。私の場合、小児科医になり、県内のいろんな病院を回り、いろいろな経験をさせて頂き、その中でアレルギーの専門家になりたいと思いました。ぜんそく発作で入退院を繰り返す患者さんに対し、もっと良い治療をしてあげられないかと考えた末でした。

それがいつの間にか、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎で多くの患者さんから頼られる存在になりつつあります。これは開業してから気付いたのですが、残念ながら、多くの医師がアトピー性皮膚炎さえ診断できないという現実です。また確かに最近になって「食物負荷試験」が注目されていますが、知っていても患者さんに負荷試験の存在すら伝えようとしない不誠実な小児科医が多いことも、ウソのつけない私にとっては驚きです。

知ったかぶりをしたり、わざと診断を間違えて点滴を強要したり、儲け優先としか思えない“医療”をしている医師も一握りではありますが、います。当院の使命にひとつ新たに加わったのが、ダメな医療、なくさなければならない医療を市民に知らしめることです。そうしなければ、おかしな医療を受けている患者さんを救うことができないからです。

先々週、新潟市から湿疹が治らないという赤ちゃんが当院を初めて受診されました。重症なアトピー性皮膚炎にもかかわらず、新潟市内の某皮膚科でそうは診断されていませんでした。アズノールという軟膏を塗り、漢方を飲ませるという治療が続けられていました。

皮膚は象さんの皮膚のようにガサガサ、ゴワゴワで、およそ赤ちゃんの瑞々しい肌とはかけ離れていました。親御さんはその皮膚科を信じて通っていましたが、あまりの改善のなさに不信感を持ちました。ステロイド軟膏に恐怖心をお持ちのようでしたが、それは実体験ではなく、ウワサ話が元になっていたようです。

120キロ離れた当院を受診して下さいましたが、その道のりの中、大きな病院やその地元で評判の皮膚科など多くの医療機関を通り越して、当院を受診されました。

中には真面目にやっている医師もいるのでしょうが、少なくとも当院には県内各地からアレルギーで困っている患者さんが受診されますが、私と同じ感覚で治療を受けてきた患者さんに出会うことはまずありません。

いつものようにアトピー性皮膚炎の診断基準を示し、誤診されていたこと、ガイドラインの治療方針を指して、ステロイド軟膏をキッチリ使用することが近道なことを伝えました。食事の影響を専門的に説明できる皮膚科医はそうそういないでしょうから、その辺も時間をかけて説明しました。

申し訳ないと思いつつも、1週間後に皮膚の状態を見せにきて頂きました。皮膚のほとんどがツルツルの状態で、周囲の誰もが驚いたそうです。

私からすれば、ガイドラインがあるにもかかわらず、県庁所在地に住みながら、適正な医療を受けてこられなかった方が驚きと言えます。残念ながら、患者さんが必死に通っても、適正な医療をしようという医師がほとんどいなかった結果がこうだと言えると思います。

お母さんは「もっと早くくれば良かった」とおっしゃっていました。「お子さんに申し訳ないことをした」と感じ、そう思われたでしょうが、逆にそこまでしなければ、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎をそれなりに理解した医師に出会えないということも、新潟県の課題として挙げられると思います。

これは氷山の一角であり、新潟市には私が対応すればもっと良くできる患者さんは大勢いることでしょう。多くの患者さんが「田舎の開業医に何ができる」とお思いかもしれませんが、大病院にいても、その地元で評判の医院であってもアトピーの診断基準も知らず、食物負荷試験をやったことのない医師も大勢います。

敢えて言えば、ブランドや評判に惑わされやすいのが“医療”だとも言えるでしょう。私が何でも対応できるとは思いませんが、定期的にアレルギー関係の学会に行き、様々な情報を仕入れています。

これから出会うであろう「もっと早くくれば良かった」と感じる大勢の患者さんのために、日々準備をしておきたいと思っています。