当院は、小児科です。
「小児科」というのは、子どもに関して“何でも屋”でなければなりません。ただ、医学も進歩していますので、できないことはできないのですが、ある程度のことはやらなければなりません。
大人の場合は、内科が基本で、皮膚科、耳鼻科、眼科、整形、泌尿器などの各科にかかるでしょうが、小児科は基本的に、これらに関して広く浅く知識を持っていなければなりません。必要に応じて皮膚科、耳鼻科、整形外科などの紹介することになります。
当院は、アレルギーを売りにしていますが、基本は小児科です。よくマイコプラズマの誤診が上越は特に多いと言っていますが、それは感染症にも真面目に取り組んでいるからです。
実を言うと、ぜんそくにも力を入れていますので、咳が長引く場合は、ぜんそくなのか他の病気なのかを見極める必要があります。マイコプラズマも咳が長引くことがあり、しかも熱が出ないこともあるので、ぜんそくとの区別をする必要があります。つまりマイコプラズマについても充分に理解していないと、ぜんそくの診療はできないということになります。
それと同じように、アトピー性皮膚炎にも力を注いでいます。となると、乳幼児の湿疹についても、それ相当の知識を持っている必要があります。
そんなこともあり、普通はこんなことはないでしょうが、湿疹が出て皮膚科に行き、治療を受けても良くならなければ、皮膚科を諦めて当院を受診されることもあります。
先日、市内の有名な皮膚科に行って「診断は分からない。とりあえずこれ(強いステロイド)を塗っておいて」と言われた患者さんが当院を受診されました。
私は嘘がつけないので、正直「分からなかったらどうしよう」という気持ちはありました。ベテランの皮膚科の先生のところに行かれていたからです。診ないことには何とも言えないので、診察を行ないました。
たまたまかもしれませんが、パッと見でひらめきました。少し前に触れたことのある「ジベルバラ色粃糠疹」でした。
患者さんからすれば、皮膚科の先生の治療で改善してしまえば、当院には来られなかったはずです。つまり、「治りにくい」というのもヒントになりました。この病気は、皮疹に特徴があり、ステロイドも塗ればやや効果はありますが、凄くは効きません。数ヶ月で軽減してくると言われています。
皮疹は、典型的に見えましたので、私の持っている知識を駆使し、親御さんに説明しました。診察室に置いてあるiPadでインターネットができますので、病名を入れ検索すると、皮疹の画像がすぐに見られます。親御さんも「そっくりだ」と納得して下さっています。とりあえず、患者さんの期待を裏切らなくて良かったと安堵しました。
こんな感じで、湿疹で当院を受診されるケースも結構あるのです。分からない時は「分かりません」と言っていますし、皮膚科に紹介することもありますが、自分なりに勉強しているつもりですので、それなりには対応できるようになってきているのかなと思っていました。
その患者さんが来られた日に、別の皮疹の出ている患者さんも受診されました。診察してみて、熱も少し出ていて、特にのども赤くありませんでした。身体には淡い赤い発疹が出ていて、痒みはないということでした。
自分の中で、この皮疹に該当する病気は思いつきませんでした。風邪のウィルスで発疹が出ることもあり、それをウィルス性発疹症と言います。「これなのかな」と思いました。
親御さんは「溶連菌ではないのですか?」と聞かれました。溶連菌も一部の患者さんで、身体や手足に細かい発疹が出ることがあります。発疹は特徴があり、点状で、かなり痒がるお子さんが多い印象があります。また溶連菌にかかると「喉が痛い」という子が多く、これも典型例ではのどが真っ赤になります。
熱がある、発疹が身体に多いという点で溶連菌は否定できませんが、発疹の性状や痒みの有無、のどの所見など異なる点が多く、「違うでしょう」とは言いましたが、検査することで親御さんも「溶連菌ではないんだ」とより納得して下さればいいかなと思い、念のため検査させて頂きました。
何と、結果は陽性!。
可能性でいえば、ウィルス性発疹症に溶連菌を合併したということも有り得るのでしょうが、多分今回の発疹も溶連菌の仕業なのでしょう。これまで診てきた溶連菌の発疹とは異なりますが、こんなケースもあるのだと勉強になりました。
「違うでしょう」と言った手前、結果説明の時に気まずくなると嫌なので、「参りました。溶連菌でした。」と謝りました。
まだまだ私も修行が足りないようです(汗)。


