食物アレルギーは、軽症から重症まであります。
食物負荷試験をやっていると、より分かるのですが、口の周りに発赤や蕁麻疹が軽く出てしまうものから、アナフィラキシーに至るものまで様々です。
重症な場合は、いつ誤食によりアナフィラキシーを起こすか分かりませんから、エピペンを処方することになります。既にアナフィラキシーを起こした場合や、負荷試験中にアナフィラキシーを起こした場合は、強いアレルギー症状を起こすことが分かっていますので、エピペンを処方するようにしています。
これまでは、値段の問題もあり、ちょっと処方しづらかったのですが、保険適応となった現在、以前よりは処方しやすくなっています。
当院でも、数十人は処方していると思いますが、処方している患者さんには、なるべく学校や園関係者に当院までお越し頂き、使い方の説明はやっていました。ただ、市外から受診してくださる患者さんもいて、全例にはできていませんでした。
また、お恥ずかしながら、学校や園で預かってもらい、いざと言う時に職員に打ってもらえるかどうかまでは確認していませんでした。小学校、中学校、高校では、「学校生活管理指導表」が数年前に出たため、養護の先生がエピペンを使うケースも有り得ることは承知されていると思います。
この3月に「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」が発表されました。それ以前は、いざと言う時のエピペン使用は依頼しづらかったのですが、3月以降は、厚生労働省の方針として、依頼しやすくなったと感じています。
遅ればせながら、エピペンを処方している患者さんに、園がエピペンを預かってくれているか、いざと言う時の対応を把握してもらっているかを確認しているところです。上越市は、その辺の対応がスムーズで既に預かって頂いている園もありますが、他の地域はまだまだです。今後も働きかけていこうと思っています。
私の対応も十分とは言えませんが、自分の中で「こうすれば患者さんのためになる」ということは少しずつ実行に移してきたつもりです。学会などで勉強してきて「こういうこともやった方がいいんだ」と思えば、やろうと思ってきました。
それでも、見落としはありました。アレルギー検査で、数値が高い患者さんの場合です。
一般的に、重症なアトピー性皮膚炎の赤ちゃんを診療してると、やはり重い食物アレルギーを合併していることも多いのです。卵やミルク、小麦などがアレルギー検査で高値を示していたりします。
いつも言うように、アレルギー検査の数値が高い=食物アレルギーとは言えません。アレルゲンを食べて、それに起因するアレルギー症状を起こすのが食物アレルギーです。数値が高くても、食べて何ともなければ、食物アレルギーとは診断できないはずです。
ただし、数値が高ければ、アレルギー反応を起こす確率は高いのも事実です。こういう患者さんの場合、卵なら卵の加工品を食べさせてみて、何も起きなければ、それは解除できます。ただ、ミルクが6だったりすると、負荷試験を「ちょっと待ちましょう」となってしまいます。
となると、食べていないのでアレルギー症状は起こしていません。ただ、確率的には誤食でアナフィラキシーを起こしてしまうことも有り得ます。これまでは、こういうケースでは、値段のこともあり、エピペンは処方していませんでした。
先日、来られた患者さんは、当院で経過を追っており、負荷試験も行なっていました。ミルクはクラス6で、完全除去を続けていました。
少し前に、乳製品が飛び散り、それが腕にかかり、その部分が腫れたそうです。十分、重症なミルクアレルギーと考えられます。誤食があれば、アナフィラキシーを起こす可能性は高いと思われます。お母さんは、昼に電話があると、いつもお子さんがアレルギー症状を起こした報告の電話ではないかとビクビクしていたそうです。
私は、この患者さんにもエピペンを処方しようと思っています。親御さんも、緊急に対処できる武器を持つことになり、少しは安心材料になるかと思います。この方は、上越市外の患者さんなのですが、園にも対応をお願いしようかと思っています。
当院で診ている患者さんで、こういうケースは他にもいると思いますので、説明した上でエピペンを希望されるなら処方しようと思うし、通う園に働きかけていこうと考えています。


