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子宮頸がんワクチン:ガーダシル
2011年09月14日 更新

近頃は公費助成のあるワクチンが増えているため、どの小児科も予防接種希望者が多いのではないかと思います。

肺炎球菌やヒブワクチンもそうですが、子宮頸がんワクチンもそれに当たります。ただ、いくつか問題点があると思っています。

まず、子宮頸がんワクチンは接種のタイミングが初回接種して、その2ヶ月後と6ヶ月後と定められています。助成の期日がだいたい来年の3月末と決まっているため、3回目の接種を終わらせるには、6ヶ月前から接種しておく必要が出てきます。それが9月一杯となっているため、“駆け込み需要”といいますか、最近は児童、生徒さんの受診が目立っています。

それならそれでいいのですが、ここにきて新たな選択肢が出てきて、患者さんからすれば迷う状況に陥っています。しかも、圧倒的に与えられている情報が少ないのも問題でしょう。

これまでは「サーバリックス」というワクチンしか選べなかったのですが、つい最近になって「ガーダシル」という別のメーカーの子宮頸がんワクチンが発売になりました。9月15日が発売だったと思います。

“あと出しジャンケンン”ではないですが、この「ガーダシル」というワクチンは優れた点も持っており、「サーバリックス」と比べても魅力的な点があります。選択肢が増えたことは歓迎すべきことです。しかし、先程述べたように9月中旬から使えるようになりますが、このワクチンも3回打つべきとされていますが、その1回目を9月中に終わらさなければならないのです。

つまり、特に患者さん側には、考えるだけの充分な時間がないと言えます。しかも、時間に余裕を持って既に「サーバリックス」の接種を1回か2回済ませてしまった方もいらっしゃると思います。後で“良さげ”なワクチンが出てきて、「やっぱりガーダシルがいい」と言っても、途中から変更できないそうで、何か不公平感は否めないのです。

子宮頸がんは、20~30代の女性が発症するがんの中では第一位で、データによると日本では1日に約10人の女性が子宮頸がんで亡くなっているのだそうです。意外に思う点は、がんがウィルスによって起こるということでしょう。ヒトパピローマウィルスが1983年に発見され、このウィルスがほぼ100%の確率で子宮頸がんの原因になっていることが明らかになってきました。

このウィルスは皮膚と皮膚(粘膜)の接触によって感染し、多くの場合、性交渉によると考えられており、それ以前の接種が望ましいとされます。

ヒトバピローマウィルスは100種類以上のタイプがあり、そのうち約15種類が子宮頸がんを起こし得るとされています。そのうち16型と18型が、子宮頸がんを発症している20~30代女性の約70~80%から検出されているそうです。

子宮頸がんワクチンには「サーバリックス」と「ガーダシル」がありますが、「サーバリックス」はこの16型と18型の2種類のウィルスを強力にやっつける効果があるとされています。一方、「ガーダシル」はこれに6型、11型を含めた、合計4種類のウィルスに有効とされます。どちらかと言うと6型、11型は尖圭コンジローマという、性感染症であり、難治なイボを予防する効果に長けているとされます。これは「ガーダシル」のみにあり、「サーバリックス」にはない効果です。

尖圭コンジローマは、頻度はかなり少ないようですが幼児例も見られ、実は私の診ている患者さんで、この病気を発症したお子さんがいます。皮膚科で治療してもらっていますが、時間がかかっているようです。子宮頸がんは、小児科医の私にとって診る経験もないのですが、命に関わる病気ですし、さらに発症すると難治な尖圭コンジローマも予防する「ガーダシル」は魅力的に映ります。

かと言って「サーバリックス」も16型、18型には効果が充分なため、子宮頸がん予防という観点では「ガーダシル」を凌駕しているとも言われています。つまり、どちらも優れたワクチンと言えると思っています。

「サーバリックス」の方が効果が長いという話もあるようですが、アメリカの研究機関でも2006年からのデータなので、長期的な予防効果などの結論は、まだ出ていないというのが本当のところだと思います。

「ガーダシル」のメリットを重視して、接種を希望される方も少なくないでしょうし、全国的なニーズが高まれば、品薄になってしまいます。「是非ともガーダシルを接種したい」と思っても、供給が追いつかないかもしれません。更に9月中に接種を済ませておかなければならないというジレンマもあります。

いろんな意味でタイミングが悪く、ゴタゴタしているのも事実でしょう。「サーバリックス」が手に入りやすいから「こちらをお勧めします」というのも、ちょっと安易かなと思ってしまいます。

9月15日に「ガーダシル」が発売になれば、患者さんはその2種類のワクチンから選ぶ権利があると思うし、ワクチンの供給の点など、状況が許すかどうかの問題もありますが、できれば患者さんの希望に沿おうと努力するのが医師の役目だと思っています。

あと半月しかありませんが、どうしようか迷っている方はご相談頂ければと思っています。