小児科 すこやかアレルギークリニック

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休診のおかげ
2011年09月05日 更新

日曜に「男旅」をしてきました。

いや、そんなに大袈裟なものではなく、息子と2人きりでドライブをした程度のものです(笑)。お腹が減ったので、近くのショッピングモールに行き、ドーナッツのチェーン店でドーナッツを食べてきました。

トレイにドーナッツを載せ、どの席に座ろうか辺りを見渡していると、女の子が寄ってきてきて、私に話しかけようとしています。

ふと、少し前に経験した似た光景を思い出しました。「ハングリー、マネー」の件です。一瞬、「えっ」と思いましたが、見たことのある顔です。その奥を見ると、当院にそのお子さんをよく連れてくるお父さんとお母さんの顔がありました。私に気付き、子どもながらに挨拶したかったのだと思います。「ハングリー、マネー」だなんて失礼しました(汗)。

医院以外の場所で会ったりすると、ニコニコして寄ってくるお子さんが多いように思います。いつも診察にあるおもちゃで遊ばせてあげていますから(笑)。

さて、当院は開院してまもなく丸4年になります。その間、ほぼ毎日新患の患者さんが受診されています。アレルギーで困っている患者さんが多いのですが、熱や吐き下しで受診されるお子さんも増えてきました。

先日も、何人も新規の患者さんが受診されました。話を聞くと、かかりつけが休診だったらしく、当院を受診されたそうです。熱を出して、咳が増えたというのが受診理由だったのですが、初めて私と顔を合わせるのに「チックン(注射)しない?」とおびえ、診察室に入るのを躊躇っています。

当院に来るのは初めてだし、当院では点滴も予防接種もしたこともありません。話を聞くと、いつものパターンのようです。つまり、咳が出ると、マイコプラズマと診断され、「点滴しないと治らない」と釘を刺され、何度も点滴をされてきたのだそうです。

こういう話を聞くと、悲しくなり、情けなくなります。私の経験している所では、マイコプラズマでないものをマイコプラズマと言われて、点滴云々と言われるお子さんが上越にはとても多いのです。

いつも言っているように、マイコプラズマは検査が疑陽性が多く、仮にマイコプラズマであっても「点滴しなければ治らない」というのは到底正しいとは思えないのです。当院では、マイコプラズマ疑った場合、内服薬で対応しています。点滴する程重ければ、入院治療を行なうのが一般的です。

私自身も、小児科医として20年やってきました。若い頃は、今から思うと随分効率の悪いことをやっていたと思います。いろいろ経験を積むことで、効率が上がってきたように思います。「無駄なこと」や「子どもに苦痛を与えるようなこと」は、しないで済むのなら、しない方がいいと思います。

マイコプラズマに関しても、小児の医院などでマイコプラズマと診断された患者さんに、信頼性のある別の検査をやっても、その多くがマイコプラズマでないことが判明していますので、マイコプラズマの迅速検査は当てにならないことは知っていますし、本物のマイコプラズマを疑った場合、点滴もせずに「この内服薬なら効くはず」と考え、処方すると2日程で効いてくるということをよく経験します。つまり、「点滴しないと治らない」というのは信用できないことも分かっています。

結局、いつも通りの話になるのですが、ぜんそくが見逃され、風邪を引いて咳が悪化するのをマイコプラズマと診断されていたのです。

マイコプラズマは急性の呼吸器感染症であり、ぜんそくは慢性疾患ですが、感染症ではありません。咳の出方を聞けば、繰り返しており、丁寧に問診すればマイコプラズマでないのは明らかです。マイコプラズマでないので、点滴をなかば強要されても効果は乏しいのは当たり前です。

点滴を繰り返されていたので、患者さんは幼くても、具合の悪い時は針を刺されていたので、医院が代わっても「また点滴されてしまう」と恐怖におののいていたのでしょう。

小児科って、子どものことを最優先で考えると、変な話、儲かりません。治らない方が何度も通ってくれるので、ガイドライン通りに治療してあっさり症状が落ち着けば、“困る”ことになります。「無駄なことをやらない、痛いことをしない」なんて言っていると、プラスαが入ってこないことになります。医療って、とても理不尽なものです。

ただ、私は稼いでやろうと医師になった訳ではないし、子どもが好きで、子どもの元気な顔を見るのが楽しみで小児科医を選んだので、経営は二の次でいいと思っています。目先のことばかり考えていると、地元の信用を失います。それだけはすべきではないと、言い聞かせています。

今回来られた患者さんには、マイコプラズマではなく、ぜんそくが隠れているからこそ、症状を繰り返すのでしょうと説明しました。ぜんそくの典型的な症状を列挙し、お子さんがいかに当てはまっているかを理解して頂きました。

これまでは、とにかく診察が早かったようで、説明もあまりなかったようです。私が根拠を示し、時間をかけて説明すると、初対面でもすぐに私を信用して下さることがこれまでも多かったし、今回もそうだったようです。しまいには、「こうやって診断が明らかになったのも、休診のおかげと言えるのでしょうね」なんて話も出ました。

医師は、特に小児科医は子どものことを最優先に考え、まっすぐに医療をやるべきでしょう。自分が何でもできるなんて思ってもいませんが、質の高い医療を目指しているつもりです。敢えて言いますが、質のかなり落ちる医療も存在するようですから、逆に真面目にコツコツと診療することで、地元の信用を勝ち取ることもできるのだと思っています。

他院にかかっていて良くならないと、当院をご指名で受診するよう勧めて下さる幼稚園や保育園も増えてきています。「4年経っても、この程度」という気持ちもありますが、特にアレルギーの分野を中心に「医師の診断や指導に差がある」ことが広まってきているのは、よい傾向だと思っています。

マイコプラズマと繰り返し診断されている方は、早めに受診して欲しいと思っています。しなくていい痛む行為は、しない方がいいのです。もし、これをお読みの地元の園の先生がいらっしゃれば、「医者を代えるのも有効な手である」と促して頂けたらと思っています。

「チックンしない?」とおびえる子どもを一人でも減らしたいと強く願っています。