小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

“繰り返す”感染症
2011年07月20日 更新

先日、生後2ヶ月で発熱し、咳も出ていたため、病院に紹介した患者さんがおりました。

特に生後3ヶ月以内は、お母さんのへその緒から免疫をもらっているため、感染症は起こしにくいのですが、逆に3ヶ月以内の赤ちゃんが発熱した場合は“緊急事態”と考えます。

こういう場合は、精査と治療を兼ねて入院加療が適切と言われています。迷わず、産まれた病院に紹介状を書きました。

当初は熱と痰がらみの咳であり、気管支炎など呼吸器感染を考えていました。先日、紹介状の返事を頂き、「インフルエンザ耐性菌」、「尿路感染症」、「低ガンマグロブリン血症」という3つ病名が書かれていました。

退院後に当院を初めて受診された時に、「こういう病気だったんだね」と言うと「よく分かりません」と言われたので、解説することにしました。もちろん、病院の先生にも説明してもらっていたのですが、親御さんは充分理解されていなかったようです。確かに医師を目の前にすると、よく理解できていないのに「分かりました」って言ってしまうことはありますよね?。

ひとつ目の「インフルエンザ耐性菌」とは、冬場に流行るインフルエンザウィルスではなく、ヒブワクチンで抑えるインフルエンザ菌の方です。細菌感染症は抗生剤が効きますが、抗生剤が効きにくい、いやらしい菌になっており、耐性化しているということを意味しています。これが鼻の奥の培養で検出されました。

二つ目は「尿路感染症」です。入院時に、検尿をすると尿に汚れが見つかりました。尿を培養すると大腸菌が多量に検出されました。血液の炎症反応も悪かったため、単なる膀胱炎でなく、腎臓の方に感染していたものと思われます。

キッチリ治療して頂き、尿路の検査までして頂きました。上越で診療していて、他の開業医で尿路感染症と診断された赤ちゃんを時々みますが、尿路の精査はまず行なわれていません。これは小児科医の“常識”とは異なります。腎臓、膀胱などに菌が紛れ込みやすい構造になっていれば、また尿路感染症を繰り返すことになります。なぜ尿路感染症を起こしたのかを考えなければならないのです。

ちなみに今回の患者さんは、病院で超音波検査をやって頂き、尿路に異常は見つかりませんでした。ただ、一部で調べられるべき患者さんがエコーなどで調べられていないのは、かかる医師により医療内容が大きく異なることを意味しています。乳児で尿路感染症と診断されたときは、エコー検査もセットと覚えておいた方がいいかと思います。

尿路に異常がなかったので、尿路感染症を繰り返さない可能性もありますが、また起こす可能性もあります。また発熱したときは尿検査をするなど、用心して診ていく必要があります。その辺はお母さんに伝わっていませんでしたが、そこは最大のポイントなので理解して頂けてよかったと思っています。

三番目の「低ガンマグロブリン血症」とは、免疫グロブリンの濃度を調べたら、基準値より低めだったということです。免疫の濃度が薄かったから、今回の感染につながったのかは、まだ何とも言えません。まだ患者さんは2ヶ月なので、成長とともにガンマグロブリンの濃度が改善することもあり、その場合、低ガンマグロブリン血症は一過性だと言えます。また細菌感染を繰り返せば、再度ガンマグロブリンの濃度を調べる必要がありそうです。

今回の発熱と炎症反応の悪化は、尿路感染症によるものだと思っています。ひとつ目の「耐性インフルエンザ菌」はたまたま検出されただけかもしれませんが、痰がらみの咳もみられており、気管支炎を起こしていたのかもしれません。

今回、2ヶ月と早期にして細菌感染を起こしていたことが分かった訳ですが、もしかしたらまた尿路感染症を起こすかもしれないし、鼻から検出されたインフルエンザ菌も耐性化していたので、しつこいはずで、またぶり返してくるかもしれません。もしかしたら、ガンマグロブリンが薄いために、免疫が充分に働かずに、細菌感染を繰り返してしまうのかもしれません。

よく、ぜんそくやアトピー性皮膚炎という慢性疾患の話をしていますが、これまで説明してきたように、感染症でも条件を満たせば、細菌感染症を繰り返すこともあります。その可能性が分かっていれば、対処の作戦は立てやすいはずです。実は、退院後も痰がらみの咳はスッキリしておらず、当院で経過を追うことにしました。

今回、生後2ヶ月の細菌感染症ということで入院は避けられない状況でした。こういう患者さんは、病院で診るのがベストかといえば、私はそうでもないと思います。何故なら、開業医はいつも同じ医師が同じ目線で診ることができるからです。病院だと、なかなかそうはいきません。

もしかしたら、また感染症を起こしてしまい、入院加療を余儀なくされるかもしれませんが、その時は紹介状を書こうと思っています。ただし、気をつけるポイントは分かっていますので、早めに手を打つこともできると思います。でも実は、アレルギーもそれこそ繰り返す病気なので、同じことが言えるんですね。