ぜんそくは、以前は8割治ってしまうと考えられていましたが、そこまで治らないことが分かってきました。
一般論として、喘息を発症するのが1歳頃が多く、治るとしたら11~12歳頃が多いと言われています。ただでさえ10年以上の経過があるのです。
子どものうちに治る可能性があるなら、子どものうちに治しておきたいと言うのが私の本音です。もちろん、重症のお子さんは治りづらいし、日頃から発作を繰り返していると、気管支のアレルギー性の炎症が更に悪化してしまうため、より治りにくくしてしまいます。是が非でも悪化を抑え、小児期で足を洗っておきたいところです。
ぜんそく発作を起こせば、小児科に行くと吸入をしたり、点滴をしたりして呼吸を楽にしようと努力します。実は、専門医もそうでなくてもやっていることは、そうは変わりません。
発作を起こしやすいお子さんは、発作を起こしづらくして、治してしまいたい訳です。頻回に発作を起こすようであれば、発作を予防する必要があります。ぜんそくが軽症なら予防する必要がないか、あっても軽い治療で済みます。一方重症なら、ガッチリ予防する必要があります。
その予防の仕方が私のよく言う「ガイドライン」に書かれているのですが、専門医でないと重症度が見誤られていて、治療が足りないことが多いのです。この部分が、医師によって差の出るところでしょう。
アレルギーに関しては、アトピーや食物アレルギーにもガイドラインがありますが、これらの病気のガイドラインはあまり参考にされておらず、ぜんそくのガイドラインが中では普及しています。10年以上前に作成されており、一番歴史があるから、認知度も高いのだろうと思います。
ガイドラインの普及とともに、過小治療が徐々に減ってきているようですが、別の困ったことが起きています。“過小”でなく、“過剰”治療が目立つようになってきているのです。
具体的には、「アドエア」という重症のぜんそく患者さんの治療薬が、安易というか気軽に処方されるようになってきています。最近の成人ぜんそくの治療に、アドエアに代表される吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を混ぜたタイプの薬を使うようになってきており、呼吸器内科の先生でなくても、ぜんそくと思うとアドエアを処方する医師が増えています。
小児のぜんそくと大人のぜんそくは同じではなく、治療も異なります。小児ぜんそくは、内科ではよく使われるアドエアをホイと処方すれば良い訳ではないのです。
先日、当院を初診された患者さんが、ぜんそくの説明もなく、アドエアが処方されていました。「これって重症のぜんそくの治療薬ですよ」と言うと、親御さんは絶句されていました。ぜんそくの「ぜ」の字も思っていなかったからです。医師の説明不足であり、過剰治療と言わざるを得ません。こういう患者さんは、実は最近目立ちます。
患者さんは、最初の医師の対応が“基準”になりますので、過剰治療を適切な治療と思ってもらっては困ります。こういう患者さんには、ガイドラインを示し、そこまでの治療が必要でない可能性が高いことを説明しています。中には、私が診てもぜんそくと診断できない患者さんにもアドエアが処方されており、正直ガッカリします。
まず、アドエアはぜんそくがあり、しかも重症の患者さん専用の治療薬であることを知って頂きたいと思っています。特に大した説明もなくアドエアが出されている場合は、治療を見直す必要があると思われます。
そんな場合は、アレルギー専門医に、現在の治療が適切かどうか、チェックしてもらう必要があるかと思っています。


