最近、食物アレルギーは「食べて治す」という方法が注目されています。
経口減感作療法とか、経口耐性誘導などというのですが、国内のアレルギー専門病院で研究が行われています。先々週のアレルギーの学会でもこの話題が取り上げられていました。
私も非常に興味を持って見守っています。現時点では、まだ未完成の部分もあり、アレルギー症状を起こさない程度の量からはじめ、徐々に増やしていくのですが、その途中でアナフィラキシーを起こすこともあり得ます。
これまでは「除去」しか対応がなかった食物アレルギーの治療に、「食べて治す」という考え方は画期的であり、食べられずに困っている患者さんを多く診ていると、非常に期待も大きいのです。
ただ、アメリカでのこの治療の現時点での評価は、あまり高くないようです。それは、治療なのだから、ある程度安全に進められることが前提であり、アナフィラキシーを起こし得るので、その点があまり評価されていないようです。
場合によっては、頻回に食べ続けることが求められ、食べるのを止めると、再度食べた時にアレルギー症状を起こしてしまうこともあるそうです。好きな時に食べられて、しばらく間を空けても食べられるのが“治癒”と言えるでしょうから、まだまだ機序に不明な点も多く、改良の余地のある治療法と言えます。
やり方は、急速法と緩徐法があります。報道などでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、微量の卵でアレルギー症状を起こしていたお子さんが2週間程で卵1個を食べられるようになるというものです。これが急速法と言われます。入院が前提で、アナフィラキシーの可能性もありますが、これだけ短期に食べられるようになります。
一方の緩徐法は、外来でゆっくりと少しずつ増やしていく方法です。数ヶ月かけて進めることもあり、アナフィラキシーの頻度も少ないと言われています。私のような開業医は、このやり方しかできない訳ですが、私はこちらの方法に魅力を感じています。
学会に行くと、効果の劇的な急速法の方が話題になっていますが、私としては、緩徐法がより安全に行なえるようになることを心待ちにしています。
最近も「食物負荷試験」を行なっていますが、こんなことがありました。昨年11月にミルクアレルギーのお子さんに牛乳を用いて負荷試験を行ないました。50ml飲んだ時点で蕁麻疹が出て、それで中止となりました。
ヨーグルトは食べれていたので、ミルクアレルギーと言えども、食べて何も症状が出なければ食べてもいいということで、食べ続けて頂いていました。
ミルクアレルギーは症状に個人差が大きく、牛乳1滴を相当薄めたくらいの量でも強い症状の出るお子さんもいます。先の患者さんは50mlは飲めており、さらにヨーグルトも食べられていたので、先日リベンジを図るべく、再度牛乳を用い、負荷試験を行ないました。
結果は、何と200ml飲めました。この結果を考えると、前回たまたまというか体調などの影響で50mlのところで症状が出てしまったり、この半年くらいの間に自然の経過で治ってしまったということかもしれません。ただ、考えようによってはヨーグルトを食べ続けたことで、より牛乳と親しくなれ、今回200mlをクリアできたという見方もできなくもありません。
私の患者さんで、卵を微量に含んだビスケットでアナフィラキシーを起こしてしまい、完全除去を続けていました。1年空けて再度挑戦してみましたが、改善がみられなかった経験もあります。最近の報告では、完全除去よりも日頃から食べることの意味は大きいようです。
アレルギー学会などが経口減感作療法のお勧めの方法を打ち出せば、すぐにでも取りかかりたいのですが、現時点では当院においては、そこまで積極的な治療はできていません。
日頃から心掛けていることではありますが、「食物負荷試験」を行なうことで食べられるものを食べてもらい、それが結果としてその食品を克服することにつながってくれればと思っています。今回のミルクアレルギーのお子さんの経験で、その方法が間違っていないというか、背中を押された気がします。


