小児科 すこやかアレルギークリニック

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二転三転
2011年04月29日 更新

食物アレルギーにおける食べられる・食べられないの判断は「食物負荷試験」でしか分かりません。

患者さんは、アレルギー検査で判断している医師を信じている訳ですが、いや、信じざるを得ない訳ですが、「食物負荷試験」のことを知っていて、検査のみで判断しているとしたら、患者さんのために最大限の努力をしていないということになります。

当院は、食べられるのに、食べる許可を得ていない患者さんの救いになろうと、「食物負荷試験」を積極的に行っています。

ある2歳の卵アレルギーの男の子が、うずらの卵を持っている園の先生に対し、「カユカユになるから、食べない方がいいよ」と言ったそうです。とても2歳とは思えない、思いやりのある言葉ですが、私の場合は心が痛みます。食物アレルギーがなければ、そんなことは考えずに済む訳で、極力制限をなくし、“子どもらしく”成長して欲しいと願っています。

3月、4月と負荷試験ラッシュとなっています。ちょうど新年度で、アレルギー食診断書の提出を求められている時期と重なるからです。昨年はこの2ヶ月で100件以上の負荷試験を行いました。一般診療と同時並行にやっているので、人一倍忙しいのですが、それだけのニーズがあるのに、当院が止めてしまったら、自分が“医師として終わってしまっている”くらいに考えています。

負荷試験をやるに当たり、一番困るのは、負荷食材を食べてくれないことです。卵アレルギーの場合は、卵焼きだったり、卵ビスケットだったりしますので、患者さん自身もそれに卵が含まれることが分かっているのです。特に小学生、中学生だと、いろいろ理解できる年頃ですので、卵に対し“拒絶反応”を示して、全く口にしてくれず、負荷試験を中止しなければならないこともあります。

そういう意味では、低年齢の方がスムーズに食べてくれるので、やりやすい訳です。ただ、先程述べた通り、2歳の子であっても「卵を食べるとカユカユになる」ことを知っているのです。

数多く負荷試験をやっていると、いろいろなケースに遭遇します。小さい子の場合は、スムーズに食べてくれることが多いのですが、中には“てこでも動かない”子もいます。

確かに、お母さんが「卵の入っているものは食べちゃいけない」と日々、繰り返し言っているのですから、言いつけを守るのは当然のことです。急に手のひらを返したように、「食べなさい」では理解できないのも当然でしょう。

たまにですが、持ってきた食材を全く食べてくれず、困ることもあります。せっかく、時間を作って検査に来て頂いたので、何とかその日のうちにシロクロをつけなければなりません。

先日の負荷試験でも、卵アレルギーのお子さんに卵焼きを負荷する予定でした。お母さんも予想はしていたようですが、頑として食べてくれませんでした(涙)。万が一のためと、ゆで卵も持ってきて下さっていたので、急遽切り替えてゆで卵で負荷試験を行おうと思いました。しかし、やはり同様に頑に食べることを拒否していました。

食べたことがない訳ですから、多分、卵料理の黄色の色に警戒しているのでしょう。食べてくれないことには始まりませんので、何とかしなければいけません。近くのコンビニにいって、食べそうな食材を買ってきて頂きました。

濃い卵が入っていて、コンビニで買え、子どもが食べてくれそうと言ったら、私が思いついたのは、プリンでした。食物負荷試験で、卵アレルギー児の最終目標は、1個の卵を使った卵焼きやゆで卵です。量にもよるのでしょうが、プリン1個は卵の1/4個相当というデータもあります。

「プリンも食べてくれなくてはどうしよう?」と思っていたのですが、何の警戒もなく、パクパクと食べてくれました。本当にホッとしました。プリン1個を食べて何も症状が誘発されなかったので、卵料理はそこそこは食べられそうです。

食材を二転三転してようやく食べてくれ、その結果として、卵料理を食べられる望みが出てきたため、お母さんも喜んで下さいました。

今後の展望としては、少なくともお母さんが卵料理を与えることに抵抗がかなり少なくなったため、ある程度自信を持って食べさせれるのだろうと思います。お子さん自身は卵がダメだと思っているようですが、また低年齢であるため、励ましながら食べさせれば、いずれはその気になってくれると思っています。

この日は患者さんもお母さんも頑張ってくれて、良かったと思っています。