小児科 すこやかアレルギークリニック

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それ以上に心配
2011年04月09日 更新

ここ毎日、複数の湿疹の乳幼児が新たに当院を受診されています。

どの患者さんもアトピー性皮膚炎なのに、そう診断されておらず、その度にガッカリしています。

乳幼児は比較的いつでも受診しやすいでしょうが、小学生になると学校もあるので、春休みなど休まなくていい時期に受診が集中する傾向があります。近頃は春休みが終わっても、小学生の受診が目につきます。日頃からアレルギーで困っていて、一度は専門医に診てもらいたかったという理由のようです。

先日受診された患者さんは、食物アレルギーが主な目的だったようです。魚卵で何年も前に症状が出たのをずっと除去し続けてきたそうです。なぜか症状の出たことのない甲殻類まで除去されており、アレルギー診断書も地元の小児科医から除去するような形で提出し続けられていました。

食物アレルギーで最も重視されているのは「必要最小限の除去」であります。「あれもダメ、これもダメ」では食べられるものがどんどん減ってしまいます。「エビが食べられないから、カニもダメだろう」とか「イクラがダメだから、タラコも無理だろう」というのは、正しい場合もあるけれど、正しくない場合もあります。勝手に決めつけていると、「必要最小限の除去」にはならなくなります。

確かに甲殻類や魚卵、ナッツ類などは成長しても改善しないケースもあるでしょうが、「そろそろ食べられるようになっているんじゃないか?」というように、たまには疑ってかからないと、いつまで経っても何も変わらなくなります。

今回の患者さんは、まさにこういったケースでした。既にかもしれませんが、いろんなことが分かる年齢になると、食べさせようにも精神的に食べられなくなっていることもあり、注意が必要です。そんな場合は「食物負荷試験」自体が困難になります。口にしてくれなければ、検査の判定ができないのです。

とりあえず、負荷試験で除去する必要があるのかを調べると言うことで、話はつきました。ここで話は終わるはずだったのですが、「咳」についても相談がありました。

この患者さんは、小さい頃はゼーゼーを繰り返しており、ぜんそくと診断されていました。近年はゼーゼーしなくなっていましたが、数ヶ月前からやたらと咳が長引いていたそうです。よくある話ですが、近医では風邪と診断されていました。でも、風邪ならそんなに咳は長引かないはずです。

専門医なら、「ぜんそくが治っていないんじゃないか」と疑うところです。肺機能検査をやってみたところ、ちょっと気になる値だったため、発作を起こしていなかったのですが、発作時用の吸入をやってみました。その後に肺機能検査を再度やってみたところ、検査が大きく改善しています。つまり、発作を起こしていないつもりだったのに、気管支が収縮していたことになります。

これでぜんそくが治っていないことが証明できたと思っていますが、親御さんも「食物アレルギーも心配だったけど、止まらない咳もそれ以上に心配だった」とおっしゃいます。

実は、咳が長引いた時にだけ咳止めの薬が出されており、過小治療であったと考えています。ぜんそくの治療って、専門医であっても難しかったりします。それは治療が過小であってもいけないし、過剰すぎてもいけないということを意味します。ただ、今回のケースは、長引く咳を“風邪じゃない”と早く気付いて欲しかったと思います。

ある程度、年長になって発作を繰り返しているとぜんそく自体が治りにくくなると思います。私は、自分の関わる患者さんが誰ひとりとして大人にぜんそくを持ち越して欲しくないと考えています。それは小児科医なら誰でも同じ気持ちであって欲しいのです。

咳が長引いておかしいと思ったら、それを気付いたのが親御さんならアレルギーの専門医に一度診てもらうべきだし、それを気付いたのが小児科医なら、専門医に紹介すべきでしょう。

食物アレルギーの相談が、ぜんそくの過小治療の話になってしまいました。食物アレルギーにしてもぜんそくにしても、適切な治療がなされて、少しでも苦しむ子ども達が減るようにしなければいけないと思っています。