大震災からの復興を日本の誰もが望んでいることと思います。
そう願う気持ちは、私も同じです。ある意味で、日本人がここまで結束して対応しようとしている姿は、最近はなかったのかもしれません。
私には、その思いと同じくらい強く願っていることがあります。私の診ているぜんそくやアトピー性皮膚炎が治ることです。もともと慢性疾患で、そう簡単には治らないのですが、日本の第一人者の先生方が示したガイドラインに沿って治療していけば、その時点で最も適切な治療法が書かれている訳ですから、期待は膨らみます。
日頃からこの場で、アレルギーの子ども達が適切な治療を受けられるように様々なことに触れていますが、一番不満に感じていることは、診断が間違っていることが多いこと、治療も我流のことが多く、咳や皮膚が落ち着いておらず、症状がダラダラ続いているにもかかわらず、そのまま様子をみられていることです。医師はプロなんだから、本来そんなことは許されないはずだと思っています。
土曜の外来は混んでいました。“混ませていた”と言えるのかもしれません…(汗)。一人当たりにかける時間が長いので、待ち時間がどうしても長くなってしまうのです。
最近は、アレルギーで困っている当院初診の患者さんがとても多いのですが、他院でガイドラインとは異なる治療を受けていることが多く、慢性疾患はすぐには治らないため、日頃から上手に付き合っていく必要があります。その“付き合い方”が正しく認識されていないので、それを正す必要があります。
慢性疾患は、風邪や胃腸炎などの急性疾患とは異なるのに、“3分診療”が行われていることが多く、時間をかけるべき患者さんにかけられていないのです。そういう意味では県内の医療機関の対応をみていると、本気で慢性疾患に力を入れている施設が極めて少ないというのが現実でしょう。
新患の患者さんには20~30分かけて説明しています。それで充分とは言えませんが、これまでの病気の対応の“誤解”を解くためには、時間はかけざるを得ないのです。新患の患者さんが大勢受診されると、20~30分の診療が何度も行われますから、診療が延び延びになってしまいます。当院が“3分診療”をすれば、期待を裏切ることになるし、患者さんを正しい方向へ導けませんので、そうせざるを得ないとも言えます。
結局、19日の診療が終わったのが15時でした。最後の方の患者さんは相当待つことになります。普通の開業医の発想では、待たせないように診療を数分で切り上げるのが常だと思いますが、私の場合はお待たせした分、時間を掛けなければならないと思うのです。
いつもそういう考え方で診療していますが、待ち時間が県内でもトップクラスに長い方だと自認しています。しかし、それで当院が敬遠されるかと言えば、決してそうとは言えないと思っています。初診の方でも「治したい」という気持ちで接すれば、患者さんには伝わると思っています。
15時に診療が終わったと書きましたが、もちろん昼食は食べる時間はありません。しかし、その後にやるべきことがありました。「気道過敏性試験」です。これは以前も何度も触れていますが、ご存知ない方が多いことでしょう。
簡単に言えば、自動車免許を取る際に「卒業検定」が行われますが、ぜんそく治療における卒業検定が「気道過敏性試験」に当たります。この試験をクリアすれば、ぜんそくの治療を止めてもいいという判断していいことになります。クリアできなければ、まだ発作を起こしやすいと判断され、治療を中止しても再悪化する可能性が高いことを表します。
長年、当院に定期的に通院して下さった患者さんが、ぜんそくの調子がいいと治療を中止してよいかどうかの判断として、当院では「気道過敏性試験」を実施してます。この場でよく触れている「食物負荷試験」のぜんそくバージョンとも言えます。まだ発作を起こしやすいかどうかを客観的に判断する方法です。
この検査は、全国の小児科の開業医で、多分99%は実施されていないと思います。そこまでするのは、私のこだわりです。というか、患者さんの信頼に応えるにはこれくらい当然だと思っています。
春休みが近いということもあり、「気道過敏性試験」の予約が、この日の午後に2名入っていました。詳しいことは後日触れようと思いますが、一人当たり1時間くらいかかる検査です。二人の検査を終わり、昼食の弁当を食べ終わったのが17時半でした。
私の認識では、年長のお子さんの場合は、ぜんそくの治療を中止していいかの判断は「気道過敏性試験」が適していると思います。通常は、発作が出にくく、症状が落ち着いていると「そろそろ治療を止めてみようか?」って感じで止めるのが常だと思いますが、まだ気管支の敏感さ(気道過敏性)が残っていれば、ぶり返す可能性が高く、また治療をし直さなければなりません。
本当に治っているのか?、治療を中止してよいのか?を判断するには、より確実な方法で判断すべきだと考えています。開業医は誰も土曜の夕方まで働きたくはないはずです。しかし、患者さんに本気で治って欲しいと願っている以上、手を抜く訳にはいかないのです。
敢えて言いますが、主治医の方針があまりにもガイドラインとかけ離れていると、最も避けなければいけない「ぜんそくを大人に持ち越す」ことにつながります。主治医のぜんそくの知識が不足していると、信頼して通院していながら、こんな最悪の事態も起こり得ます。時々見かけますが、ぜんそくが重いのに発作が起こると点滴に通うように指示し、点滴に通わせ、予防治療しないのは、専門医に言わせれば最低の治療法です。ぜんそくに関しても、患者さん自身も正しい知識を持って頂き、かかる医師によって予後が大きく異なることも知って頂く努力をしなけれないけないと思っています。
小児科医の多くが、震災の復興を願うのと同じくらいの気持ちで診療に当たれば、アレルギーで苦しむ子ども達がかなり減るのだろうと思っています。


