東北、関東地方を襲った大地震と大津波による甚大な被害に心を痛めています。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
私が大学が青森だったこともあり、東北地方には愛着があります。大学時代の仲の良かった友人が仙台出身で、以前夏休みに遊びに行ったこともあったため、とりわけ彼のご実家がどうか心配していました。
彼は優秀な医師で、向学心も旺盛で、今は岡山県で国内留学をしていると聞いていました。ですから、彼が無事なのは分かっていましたが、彼のお母さんが大丈夫だろうかと思い、メールしてみました。まもなく返事があり、ご本人もお宅も無事だと聞いて、安堵しました。
彼が言うには、離れて暮らしており、こういう大災害の時には駆けつけたいけれど、そもそも仙台空港が大きなダメージを負っており、仮にタクシーなど車に乗れたとしても、自衛隊等の支援の車両が優先であり、交通規制もあるでしょうし、会いにもいけないもどかしさを感じているのだろうと思っています。ただ、見守るしかかいというもどかしさと無力感で一杯だろうと思います。
私も中越地震、中越沖地震と二度の大地震を経験し、被災生活を送ったこともあります。規模が異なりますが、不自由な生活も余儀なくされました。その苦労を少しは分かっているだけに、自分にできることを何かしたいと思っています。
当院は、開院して約3年半になりますが、新患の患者さんが受診しなかった日はほとんど記憶がありません。毎日、アレルギーで困り果てた患者さんが受診されています。
いつも言っているように、ぜんそくを“風邪”や“気管支炎”、“マイコプラズマ”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”や“乾燥肌”と誤診されている患者さん、アレルギー検査の数値だけで食べてはいけないと誤った指導をされている患者さんが当院を受診されています。
中には、医師に対して相当な不信感を募らせている患者さんもいらっしゃいます。いわゆる医療不信というものです。日頃の印象からすると、アトピー性皮膚炎の患者さんに多いと思います。
毎日のように痒い湿疹に悩まされ、患者さんはその症状が目に見えます。ぜんそくは発作を起こしていなければ、元気そのものだし、食物アレルギーも原因食品を食べさえしなければ、他のお子さんと何ら変わりません。その点、アトピーは慢性的な痒みに悩まされ、ステロイド軟膏は恐くて、使ってはならないという噂も根強くあり、副作用についてもキチンと説明している小児科医、皮膚科医も極めて少ないため、親御さんは日々ストレスにさらされているように思います。
最初は真面目に通っているものの、症状が改善しないのはステロイドを使っているからではないかと不安が不安を呼び、納得のいく説明をしてくれる医師に巡り会うまで、医療機関を転々とされることが多いように感じています。患者さんが不安を感じているのに、まともに対応しようとしない医師もおり、私が思うに医師の誠実さのない対応が不信感を招いているのだと思います。
患者さんは、「お医者さんなら何でも対応できる」と思っていると思います。ところが、症状が良くならなくても、同じ薬を出し続け、多分医師の能力を超えていても、専門医に紹介もせず、説明もほとんどしない医師は少なくないと思います。
今の診療制度では、一人でも多くの患者さんを診ると経営に有利です。病院はまだしも、開業医でじっくり時間を掛けている医院さんは、ほとんど見たことがありません。ステロイド軟膏のことについて皮膚科の先生は詳しいはずですが、あまり説明していないようですし、普通の小児科医は、あまり詳しくないが故に正しく指導しているケースは極めて少ないと思います。
親御さんが必死になってお子さんの皮疹を良くしようと通院しても、期待に応えていないというか、「オレが何とかしてやる!!」という気概を持って診療している医師が非常に少ないと思っています。医療に不信を抱く患者さんも少なくないはずだと思います。
先日も、某医院さんからぜんそくの患者さんが受診されました。結構重症で、入院歴もありました。1ヶ月に1度くらいの頻度で発作を繰り返している場合は、予防的治療が必要とガイドラインに明記されています。今月も発作があれば、来月も再来月も発作で苦しくなり、眠れなくなることが予測されるからです。
ただ、このお子さんは予防治療は一切なされず、「発作を起こしたら、点滴においで」と指導されていたのです。親御さんは何度点滴に通ったか分からないとおっしゃっていました。医師は心が痛まないのでしょうか?。点滴に繰り返し受診させた方が有利ですし、中にはぜんそくを治すよりも、経営に偏った判断をしている医療機関があってもおかしくはありません。
いつも言っているように、食物アレルギーはアレルギー検査では食べられる・食べられないの判断は不可能なため、「食物負荷試験」が推奨されていますが、開業の先生からの紹介はまずありません。
アレルギーではありませんが、耳鼻科でも、鼻のレントゲンも撮らずにすぐに蓄膿症と診断して、毎日のように鼻の吸引に来るように指示している医師もいます。しかも溜まった膿の治療には抗生剤が必要にもかかわらず、一切使っていません。
厳しい言い方かもしれませんが、医師は患者さんの、小児科医であれば子ども達の病気を治すことに貪欲でならなければならないはずなのに、そうされていないように感じています。
敢えて言えば、私自身も“医療不信”を感じています。
もちろん、病院の先生など、一生懸命やっておられる先生方もいます。真面目に時間をかけて診療していると、待ち時間が長いと患者さんから敬遠されてしまうのかもしれません。しかし、待ち時間が短くても、説明もなく、同じ薬を出し続けられていては、意味がないと思っています。
一般的に評判がいいとされていたり、名が通っている医院さんであっても食物アレルギーでは「食物負荷試験」はまず行われていませんし、必ずしも根拠のある医療が行われていないと思っています。せめて手に負えない患者さんは専門医に紹介すべきでしょう。ただ、紹介すれば自院の患者さんが減るので、期待は薄いと思います。
アレルギーで困っている地元の患者さんのために、この現状を打破しなければいけないし、それも私の役目なのだろうと考えています。


