小児科 すこやかアレルギークリニック

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苔癬化
2010年12月11日 更新

先週末、横浜でアレルギー学会の発表をしてきました。その前の週は、感染症についての講演でした。

実はまだやるべきことがあるのですが、とりあえず“大仕事”を終え、プレッシャーから解放されました。混雑している外来と学会や講演の準備など、二足のわらじは結構キツく、こんなに体が楽になるものかと驚いています。

先日、湿疹を痒がるとお母さんがお子さんを連れて当院を初めて受診されました。

まだ小さいのに、体の局所に湿疹が出ていて、特に足首がひどい状態でした。これまでは皮膚科に通っていたそうですが、それでもひどい状態でした。

アトピー性皮膚炎は、慢性の湿疹ですから、皮膚がザラザラ、ガサガサします。一般的には、ご存知の方も多いでしょうが、肘の内側や膝の裏側に両側性に湿疹が現れます。「掻く」という行為自体も悪化要因であり、より一層皮疹を悪化させます。その結果、「苔癬化」という状態に陥ります。

皮膚が厚ぼったくゴワゴワして、言い方は悪いですが、象の皮膚のようになることがあります。あれが「苔癬化」です。長い間悪化すればする程、難治化すると言っていいでしょう。

素人がみても、アトピー性皮膚炎と診断まではできなくても、疑うことができるであろう状態でした。どういう訳か、プロにかかっていながら、アトピー性皮膚炎とは診断されていませんでした。敢えて言いますが、私なら1年以上も前にアトピーと診断できていたと思うのです。

その根拠は、生まれてしばらく経った状態からアトピー性皮膚炎の診断基準を満たしていたからです。その診断基準は、私のよく言う「ガイドライン」に載っています。お母さんに、まずアトピー性皮膚炎であることを理解して頂かなければなりません。いつも言うように、診断を間違えば、治療も指導もすべて間違うからです。

いつも通り「ガイドライン」を手に診断基準を指し示しながら、説明しました。ちなみにその診断基準のもとは、日本皮膚科学会が作成しています。皮膚科の先生のほとんどが所属しているであろう、学会なはずなのですが…。

お母さんは私の話の度に「そうだったんですかー」と繰り返していました。私から言えば、子どもでは有り得ないような苔癬化した状態にもかかわらず、逆に診断も治療も中途半端で、アトピー性皮膚炎と診断されていなかったことの方が驚きです。

今の医療はそれなりに進歩しています。ウィルス感染症に抗生剤の点滴をするような的外れなことをしても熱は下がりませんが、例えば先日も話題に挙げた溶連菌は抗生剤が著効します。抗生剤は「抗菌薬」と呼ぶべきで、耐性菌でない限り、菌に抗生剤は著しい効果を発揮します。これはもちろん、アトピー性皮膚炎についても同様です。

アトピーには、ステロイドを出しておけば良いという訳ではなく、皮膚症状の程度などを見極め、その皮膚を短期間で改善させる薬を選択しなければなりません。実際に私もそうしていますが、1週間もあれば「かなり効いているな」という印象を持って頂くことは可能です。

これまでの対応が不十分だった分、医療に対する不信感も持ってきていると思いますので、「医療も捨てたものではないよ」と思って頂くべく、治療の遅れを取り戻そうと思っています。

それにしても、当院に来られる患者さんは適正な医療を受けてこられなかった方が多く、それはここ最近触れているように、アレルギーしかり、感染症しかりです。地元のレベルアップのために私の果たす役割は小さくないと考えています。