小児科医は、感染症を扱うことが多い科です。
冬に流行る病気といえば、インフルエンザでしょう。またノロウィルスもそうです。更に上越でも流行が拡大してきているRSウィルスも、冬期間がメインです。
先日、秋田県の病院でインフルエンザが流行し、死亡者が数名出たという報道がなされていました。それを朝の情報番組で扱っていたのですが、その時にコメントしていた医学ジャーナリストだったと思うのですが、その方が今年のインフルエンザの流行は早いと言っていました。他国でも例年よりも早く流行り出しているそうです。
いざ日本はというと、北海道や沖縄だったでしょうか、一部の地域で観測されるものの、目立った流行はないと言っていたように思います。昨年の新型インフルエンザの時も、大都市から広まり、ゆっくりと新潟県に上陸した印象で、「新型」だったため、皆が不安を抱えていましたが、若干は心の準備ができていたように思います。
今シーズンは、北海道や沖縄から一気に新潟に来るとは思えず、流行はしばらく先だと考えていました。ところが、ところです。当院は水曜の診療後に医薬品の業者の方と面会しています。面会した一人の業者の方が意外なことを言っていました。本人は「間違いないです」と断言していたので、間違いではないと思うのですが、私自身が確認した訳ではないので、イニシャルで書きますが、中越地方のT市でインフルエンザによる学級閉鎖が出ているそうなのです。
まだ流行は先のことだと思っていたので、ビックリしました。日々、診療の合間にインフルエンザのワクチンを例年以上に受け付けて、頑張って接種しています。もう既に2回接種を終わっている方もいますが、ようやく1回目という方もいらっしゃいます。一般的に接種後3週間くらいして免疫がついてくると言われているため、流行り出してから接種しても効果は期待できないのです。まだ2回完了していないという方は、早めに済ましておいた方がいいと思います。
ちなみに、治療法もバリエーションが増えました。「タミフル」と「リレンザ」という武器に「イナビル」と「ラピアクタ」が加わりました。
「イナビル」は吸入するタイプの薬ですが、なんと1回吸えば「タミフル」を5日間飲み続けるのと同等の効果があるそうです。「ラピアクタ」は発病して間もなければ、この薬を1回点滴すれば、やはり「タミフル」を5日間飲んだのと同等の効果が期待できるようです。当院は、目先の収益にこだわらず、点滴という子どもの嫌う治療は避けています。ただ、薬が苦手なお子さんには有効な治療と思われ、ケースバイケースで使用を考えたいと思っています。
インフルエンザの情報ついでに、他の感染症の情報も。新潟市内でノロウィルスと思われる集団発生があるようです。そろそろ、そういう時期なのだろうと思います。これもウワサで申し訳ないのですが、上越市内のある園でノロウィルスの患者さんが出たとのこと。ノロも感染力は極めて強いため、一気に拡大するかもしれません。
実は、ノロウィルスもインフルエンザのように迅速検査がありますが、検査費用が医院の持ち出しになってしまうため、調べない医院がほとんどだと思います。強く疑われるケースでは、各医院が良心的になって調べた方がいいと思っています。そうしないから、感染が広がる可能性が高いと考えています。
RSウィルスも、先日当院で今シーズン初めて患者さんを確認したと書きました。その後も続々とRSウィルスの患者さんが増えています。生後2ヶ月や3ヶ月のお子さんが呼吸状態が悪くなったため、入院加療をお願いしています。確実に流行が広まっている印象を持っています。
上越はRSウィルスが調べられていないことが多く、巷の感染症情報はあてになりません。2歳以下のお子さん、特に乳児のいる家庭では、要注意です。あまり調べられていないのも検査費用が医院の持ち出しになるからなのですが、子どもの健康を守るのが小児科医の役目です。生後2、3ヶ月のお子さんが鼻がグジュグジュで、ゼーゼーいいながら湿った痰がらみの咳をしているのを見ると、とてもかわいそうだと思うし、それでもRSウィルスを調べない小児科医の気が知れません。
この流行り出した感染症は、3種類とも迅速診断ができます。それも感染力が強く、RSウィルス以外は大人でもいとも簡単にうつってしまうことも多いのです。これからは注意が必要です。
ただ、今回挙げた3つの感染症のうちの2つは、検査費用が患者さんから請求できないために、流行っているかどうかがうやむやになっていることが多いように思います。当院でも、咳が出たらRSウィルスを、呕吐や下痢があればノロウィルスを全例に調べている訳ではありません。必要と判断される場合に調べています。
ノロウィルスは、下痢便を使って調べますが、ノロウィルスの発症の仕方は嘔吐から始まることが多く、その時点で下痢はしていないことが多いのです。お子さんが呕吐して、ノロウィルスを心配して受診されても、調べられないこともあります。“迅速”に調べられないのが残念なところです。
当院は、上越では小児科唯一のアレルギー専門医として、ぜんそくを“風邪”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”などと診断され、良くならない患者さんが多く受診されていますが、最近は小児科医としても認められてきているようで、感染症の患者さんも増えてきました。アレルギー以外でも診断にキチンとつけ、適切に治療していることが認められているのだとしたら嬉しく思っていますし、逆に裏切るようなことはしたくありません。
普段は、この場でアレルギーの病気のことや理不尽な対応などを医療の問題点を取り上げていることが多いのですが、時々は当院の把握している感染症情報を出さなければならないと思っています。


