小児科 すこやかアレルギークリニック

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2010年11月09日 更新

最近は、咳の止まらないという患者さんがとても多いです。

普段から治療しているお子さんも調子を崩していますが、春にぜんそくの治療をして、一旦薬を止めた方がぶり返して再診されるケースが圧倒的に多く、他院で治療しても良くならないという新患の患者さんが1日に5人前後は受診されています。

時々ゼーゼーを繰り返しているお子さんが、某市の小児科にここ2年程通っていたそうです。あまりにも良くならないため、他の親御さんのお薦めで当院を受診されたそうです。

あまりの“ハイレベル”な診療と言動にビックリさせられました。

このお子さんは、咳が一旦出だすと止まらず、ゼーゼーも繰り返し、“風邪”と診断されて、“風邪薬”が出されていたそうです。私に言わせれば、風邪じゃないので風邪薬が効く訳はないのです。咳が止まらないと、すぐに点滴になっていたそうです。

最近は、会計でどんな診療をされたか明細を渡されるケースもあるし、どんな薬を処方されたのか分かったりします。言い方は悪いですが、それをみれば、その医師の実力が手に取るように分かってしまいます。

当院のホームページをご覧の方なら、「ゼーゼー繰り返せばぜんそくではないか?」と察しがつくと思います。その通り、この患者さんにはぜんそくと診断すべきでした。しかし、先に述べた処方や点滴の内容をみて、驚きました。言っていることとやっていることの整合性が全くとれていないからです。

当院ではゼーゼーを繰り返している患者さんに「風邪です」と説明したことは一度もありません。風邪だけで、ゼーゼーすることは有り得ないからです。ただし、ちょっとややこしいかもしれませんが、ぜんそくの素因があって、風邪を引くことによって、咳の出やすい本性が現れてゼーゼーすることはあります。

その患者さんは、ゼーゼー繰り返しているにもかかわらず、ずっと“風邪”と言われていました。残念ながら、患者さんは素人なため、医師の言うことに従うしかありません。ずっと“風邪薬”を飲まされてきました。これまで咳が治まってきたのは、薬の効果と言うよりは、自然の経過だろうと思われます。

ぜんそくの軽くない患者さんは、ゼーゼーを繰り返すことで、よりゼーゼーを繰り返しやすくなります。実際、以前よりは一層ゼーゼーしやすくなってきたそうです。最近では“気管支炎”という診断になったそうです。

風邪はのどの炎症ですが、大抵はのどまでの炎症で済むのですが、風邪がこじれるとのどの先の「気管支」に炎症が進み、その状態を「気管支炎」といいます。気管支の先には「肺」がありますから、気管支炎のこじれた状態が「肺炎」になります。一般的に「気管支炎」とは風邪のこじれたものを指す訳です。

今回の患者さんの処方は、“気管支炎”と診断されていた割に「シングレア」という薬が出されていました。お薬手帳に「ぜんそくの薬です」と書いてあるにもかかわらず、ぜんそくとか、ぜんそくの可能性が高いなどという説明は一切ありませんでした。

更に驚いたことに、「サクシゾン」というステロイドの点滴まで行われていました。小児科医の常識として、気管支炎にステロイドの点滴は行いません。

「サクシゾン」の効能を調べてみると、副腎皮質機能不全、脳脊髄炎、末梢神経炎、間質性肺炎、ぜんそく重積発作など重症の時に使う薬であることが分かります。恐そうな病名が名を連ねています。感染症でも使うようですが、「重症感染症(抗生剤と併用する)」と明記されています。つまり、いずれにしても入院が必要な重症な時に使う薬と言って間違いではないでしょう。私も小児科医になって20年近くになりますが、「気管支炎」に「サクシゾン」を使用したことは1度もありません。

最近は、アレルギーだけでなく様々な分野で治療方針を示した「ガイドライン」が作られています。「小児呼吸器感染症ガイドライン」というものもあります。念のため、確認していましたが「気管支炎」にステロイドの点滴をするとはどこにも記載がありませんでした。

ぜんそく発作にステロイドの点滴を使う小児科医は多いと思われます。これは発作で呼吸困難に至っており、このままでは入院になってしまう可能性が高い時に、やむを得ず使うことがあります。これも地元では守られておりませんが、ぜんそくの重い発作の時に、点滴など外来で2時間程度治療しても改善がなければ、入院治療が望ましいという決まりがあるのです。

ぜんそくと診断した上で、「サクシゾンの点滴をして乗り切りましょう」というのならまだ分かりますが、「気管支炎」と説明しておいて、ぜんそくの治療薬である「シングレア」を使い、更にステロイドの点滴を行うのは、悪いですが、おかしいと言わざるを得ません。

“風邪”とか“気管支炎”と診断されて通院しても一向に良くならず、ちょっと不安を口にすると、某小児科の先生は「よそに行っても何も変わらないよ。行きたいなら行っても構わない。」とまで言われたそうです。

これをお読みの親御さんは、かかりつけ医にこう言われたらどう思われますか?。脅しともとれるし、少なくとも逆ギレと言えるでしょう。私は恩師から「患者さんから逃げるな」、「治療に責任を持て」と教えられました。患者さんは素人な訳ですし、子どもが病気になれば、親もより一層不安になります。患者さんを突き放すようなことは言うべきではないし、もしその患者さんを本当に何とかしたいと思えば、そんな言葉は出ないと思うのです。

そもそも「よそに行っても変わらない」という自信は何処から来るのだろうかと思ってしまいます。私だって、自分の治療がベストだろうかといつも不安に感じています。世の中には、上には上がいます。他の先生に任せた方が、この患者さんは良くなるのではないか?と思えば、躊躇なく紹介状を書くようにしています。

親御さんは、1ヶ月以上の長引く咳を風邪や気管支炎ではないだろうと薄々気付いておられました。親御さんには、お子さんがぜんそくであること、治療が適切でないと症状が長引き、悪化しやすいこと、ぜんそくとしては軽くなく、継続的な治療が必要であることなどを時間をかけて説明しました。つまり慢性の病気があるから、症状が長引いていたし、繰り返していた訳です。それだけでも「よそに行ってだいぶ変わった」と思うのですが…。

いつも言っている通り、診断を間違えば、ボタンを掛け違えるように、全てが間違って返ってくるのです。診断や治療方針を間違わないために、各種ガイドラインがあるのです。何にはガイドラインそっちのけの、“自分が法律”みたいな治療をしている医師も存在しているのだと思います。しかも、同じような誤った判断が繰り返しされているケースも見かけます。

私は上越の子どもを守りたいと思い、上越市に小児科の医院を立ち上げました。申し訳ないですが、おかしな治療をされていれば、それを改善させなければならないし、見て見ぬ振りはできません。敢えて言いますが、医師のやることが常に正しいとは限らないと思います。世の中にはいろんな医師がいますから。当院はおかしな医療と戦っていかなければならないとも思っています。

“気管支炎”などと言われてサクシゾンの点滴を繰り返されていたり、たいして説明もされず症状が一向に良くならない場合は、当院に相談に受診して下さい。理論的ではない医療が行われている場合は、この場で触れていこうと思うし、なくしていかなければならないと思っています。昨日の正しい感染症情報もそうですが、ガイドラインに沿った、根拠のある医療を地元に広めていくのも私の役割なのではないかと実感しています。